2015年05月29日

VTホールディングス決算説明会

2015年5月に開催されたVTホールディングスの決算説明会に参加しました。
2014年度は2回の下方修正に追い込まれたこともあり、今期の計画はどの程度の水準で出してくるか注目していましたが、売上は7%増収、営業利益は10%増益の計画を出してきたものの、過去最高益を更新した2013年度の業績には遠く及ばない水準で、かなり保守的だな〜という印象でした。
そのため今期の計画について高橋社長がどのように説明するのか注目しながら聞いてきました。

まず2014年度の業績については、消費税増税の反動減や1Q中心に車検対象台数が一時的に減少することから、後半にかけて業績が伸びていく予想をしていました。想定通り4月、5月は新車の受注が落ち込んだものの、6月後半から徐々に回復傾向となり、今回も予想通り推移すると思われたものの、回復の動きが緩慢でその後も低空飛行が続いたことから1回目の下方修正に追い込まれました。秋以降はホンダのリコールが続いたことで新車の投入が来期に延期になったり、景況感の回復が遅れたことから、3Qから業績も回復するという予想も外れて、4Qになってやっと前々年の2013年4Qを上回る水準に回復しましたが、3Qの未達分を挽回するまでには至らず、2回目の下方修正となりました。
2014年度は過去の消費税導入時や税率アップ時よりも業績への影響が長引いたことになります。
ここ数年は基本的に上方修正が続いてきたのに、2014年度は2回も下方修正することになったので、今年度はできれば上方修正となるような保守的な計画を組んだようです

2014年4Qは2012年4Qの業績を上回っているので、この勢いを持続しながら過去最高益に少しでも近付いてほしいと思っています。
今期のもう少し細かい業績見通しとしては、次の通りです。
売上で16%ほどを占めている国内のホンダ事業は、昨年投入が遅れた新車が出てくることや、リコールの影響も徐々に薄れてくるため、今期は業績が回復してくる見込みです。
一方売上の50%を占めて主力となっている日産については、今期も目立った新車投入が予定されておらず厳しい状況が続きます。来期以降はハイブリッド車が次々と投入されてくるので、今期はがまんが続く感じです。ただ日産は衝突安全ブレーキ搭載車がたくさんあって、最近は女性ドライバーや高齢者など自動で止まる衝突安全ブレーキ搭載車でないと買いたくない!という需要が増えているので、新車投入はないものの日産車の需要が下支えされているようです。これがなかったらもっと酷い状況になっていたようです。
さらに日産車ユーザーはホンダと比べて15歳ほど年齢層が高くて、日産車をずっと乗り継いでいる人が7割近くいるので、フルモデルチェンジがなくても一定の買換え需要が期待できるようです。
また、管理顧客の人数も多いので、サービス収益も安定しています。
こういった部分に力を入れていくことで、なんとか今期の業績を維持していきたいということでした。

前期は海外ディーラーの買収も2件行ったことから、海外事業の比率も高まってきて13%程度まで構成比が上がっています。今期は昨年買収した会社が通年で寄与するので、売上で300億円規模となり20%くらいまで構成比が上がってきます。
海外でも日本とやることは同じだが、日本では長野日産や静岡日産など営業利益率が10%を超える会社もあるが、海外のトップディーラーでも利益率は3〜4%と低いので、海外ディーラーの比率が高くなると全体の利益率は下がることになる。ただ利益額は上乗せになるので、海外ディーラーが増えることで売上・利益とも伸びていく。
イギリスの三菱ディーラーのCCRは赤字が続き、立て直しに時間がかかっている。三菱商事が経営していたので店舗が立派でその分償却などの負担が重く黒字化に時間がかかっている。三菱車は売れていなくて売れているのは中古車が主力となっている。ロンドン近郊の赤字の2店舗を閉鎖したので、今期も1億円ほど利益が改善するがそれでも赤字が残る。昨年買収したイギリスで日産など複数ブランドを取り扱っているGMGは黒字なので、CCRと連結することでイギリス事業を黒字化する予定。
同じく昨年買収したオーストラリアのホンダディーラーのSCOTTSは、板金工場の閉鎖などで減損を計上したので赤字になったが、単月では黒字化している。業販などにも取り組み販売台数的には前年比125%と伸びている。台当たり利益も1.5倍くらいに伸びていて、特に中古車の台当たり利益は4倍近くに改善するなど、粗利の改善が著しい。
オーストラリアにはトヨタの生産工場があったので中古車の輸入は難しかったが、トヨタが撤退したことから中古車の輸入がしやすくなると見込んでおり、この点からも業績の改善に期待している。

これはトラストにも好影響を与えますし、ガリバーなど他社の説明を聞いてもオーストラリアへの日本の中古車輸出に期待している会社が多いようです。ガリバーも将来の布石としてシドニーに店舗を出しています。
自動車販売各社の話を聞いていると、VTがオーストラリアのディーラーを買収したのは今後の連結業績に大きく寄与してくる感じがします
中古車輸出の規制が緩和されたら、トラストの個人向け中古車直接販売も伸びますし、そのアフターサービス拠点としてSCOTTS(VTが買収したシドニーのホンダディーラー)を活用することができます。またSCOTTSに日本から中古車を輸出して、日本の中古車を大々的に売り出せば、SCOTTSの業績も大きく伸びる可能性があります。
ガリバーで聞いた話では、オセアニア地域でも日本車への信頼性は高く、日本人は車も大事に乗るし車検制度なども整備されていて状態の良い中古車が多いので、日本車の中古車に対する人気・信頼度は高くて、比較的高い値段でも売れるそうです。
オーストラリアでも中古車の販売を増やして、点検・修理などのサービス需要を取り込んでいけば利益率も高まりますし、業績も伸びていきそうです。まだ売上が60億円規模の会社と小さいので、もう数社買収してオーストラリアでの規模を拡大するといいですね。

その他の子会社の業績ですが、トラストの前期は仕入車両のオークション価格が高騰したので利益率が低下し減益となったが、前述したようにオーストラリアの中古車輸入規制が緩和される可能性が高いので、今期はオーストラリア向けに伸びる要素がある。
レンタカー事業のJ−netレンタリースは、業界6位の規模まで成長している。レンタカー業界は毎年2〜35ずつ伸びているが、前期は大きく伸びた。業界6位の割には看板も見かけないし知名度が低いと思われているが、新車ディーラー事業でつながりのある損害保険会社向けの事故代車としてのレンタカー需要が6割ほどあり、この部分については客先まで配達するので目立つ場所に出店する必要がない。1店舗あたり100台くらいの規模になるので、FCも含めて10店出せば千台保有台数が増えることになる。
固定需要が6割あるというのは業績の安定につながりますし、FCオーナーも出店しやすいですね。

M&Aが成長戦略ですが、国内の案件が決まるのを待っているだけでは毎年のM&A件数が安定しないので、多くの買収案件のある海外の自動車ディーラー買収にも力を入れていくようです。国内ディーラーが最優先であることに変わりはないが、毎年安定的にM&Aするために海外にも広げていく必要がある。国内事業だけではいずれ成長に限界も来るので、将来を見据えて海外事業を拡大していくという面もある。

中期経営目標としては、経常利益率8%以上を重視している。前期は5.5%に低下し、今期計画も5.5%としているが、2013年には7.5%を達成しているので、買収先の業績を立て直していけば達成できると考えている。自己資本比率40%以上も掲げているが、こちらは30%以上をキープできていれば問題ないと考えている。
実質有利子負債は前期末に85億円ほど増加したが、これは日産もホンダもメーカーの販売計画を下回ったので、完成車在庫の引き取り依頼がありこれに応えたので、期末在庫と有利子負債が増加した要因もある。ただ在庫車はすぐに売れていくので問題ない。この部分が営業キャッシュフローの悪化にもつながっていますが、一時的な要因のようなので安心しました。
ネットDEレシオ(実質有利子負債/自己資本)は0.5以下にしたい。

株主還元については、今期より配当性向を30%から40%に引き上げた。40%を配当に回しても内部留保を40%くらい確保できるので、成長投資に問題はない。配当性向を40%からさらに上げることは考えていないが、配当性向は一定でも利益成長に伴い増配を続けていけると考えている。
配当性向は2012年度までは20%を目途としていたのに前期は30%、そして今期は40%ですから大幅に引き上げられています。前期は減益となったことで増配ペースは落ちていますが、今後利益水準が回復してくると配当のありがたみを実感することができそうです。

今期は、主力の日産がFMC(フルモデルチェンジ)がないので厳しい状況で、がんばっても前期並み程度、ホンダは前期よりは伸びるだろうという感じです。国内のディーラー事業はかなり効率化が進んできたので、さらに利益率を上げていく余地は小さくなっているようです。一方で構成比が徐々に高まっている海外ディーラー事業は、国内事業と比べて利益率は低いがやることは日本と同じなので、時間はかかるものの効率化していく余地は大きい。
来期は日産も復活してくるし、海外事業の利益率も向上してくるので、今期は過渡期で来期以降はまた成長が加速してくる印象でした。
東証1部上場企業となり、海外でのM&Aもしやすくなると思うので、オーストラリアなどドミナント的にM&Aが決まっていくといいですね。イギリスやAUなどまずはエリアを絞って、売上300億円規模の複数ブランドを扱うディーラーグループができれば、効率も上がり利益率も向上が期待できそうです。
東証1部上場前後をピークに株価は軟調に推移していますが、東証1部上場がゴールという会社ではないので、今後も海外中心にM&Aをしながら安定成長を続けていってくれると考えています。
海外の運用会社の保有割合も高まっており、海外でのM&Aが増えればさらに海外の投資家からも注目が集まり、将来的にはグローバルなディーラーグループに成長していってくれると期待しています。課題としては海外事業を支える人財をいかに育てていくのか、という点ですね。海外事業も自動車販売業が成熟化している先進国中心なので、アジアからの留学生を採用して教育すればよいという製造業やサービス業的な対応が難しい面もあります。ただ先進国なので日本人を送り込みやすいという部分もあるので、海外でも積極的に行ってくれるような人財を育てていってほしいと思います。
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posted by アイル at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | VTホールディングス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする