2017年07月20日

VTホールディングスの海外事業分析

日経マネー2017年9月号の別冊付録 勝ちの基本型集20 に取材協力させて頂きました!

その中で取り上げられているVTホールディングスの海外事業について、補足説明してみます。

VTホールディングスはホンダと日産の新車ディーラーを国内で展開している会社で、業績不振に陥った競合他社をお値打ち価格で子会社化し、独自のノウハウを注入して2〜3ヵ月で黒字化させて成長してきた会社です。
ただし日本国内での自動車ディーラーのM&Aには自動車メーカーの承認が必要なこともあり、なかなか思う様にM&Aが進まないという面もあり、海外での自動車ディーラー経営にチャレンジしてきました。
当初は中国や東南アジアなど新興国でコンサルティングという形でトライしていましたが、業績が立ち直ってくると会社を売りたくない!という話になったり、新興国は新車販売が伸びているので新車ディーラーも新規出店が旺盛で、販売台数は伸びても1店舗当たりの販売台数は伸び悩むなど競合が激しいということもあり、2012年からは日本と競争環境が同じような先進国でM&Aを行っています。

最初にM&Aしたのは2012年4月に子会社化したイギリスの三菱自動車ディーラーCCRですが、このケースでは日本と同様赤字のディーラーを買い取って黒字化させるという方針でした。
しかしながら言葉の問題や商習慣の違いなど様々な問題に直面し、5年が経過した2016年決算でも赤字が続いています。今期にはやっと黒字化する目途が付いてきたようですが、CCRの立て直しには苦労しました。
そのため、それ以降海外では基本的に黒字の自動車ディーラーをM&Aして、収益性を高める方向に戦略を変更しました。
2014年12月にイギリスのマルチディーラーGriffin Mill Garages、2016年5月に同じくイギリスのマルチディーラーWessex GaragesHD、2016年10月にスペインのマルチディーラーMASTER AUTOMOCIONを子会社化しています。3社とも黒字の会社です。
この結果、下記グラフの通り前期で海外事業を黒字化することができました。
VTホールディングス
今期は赤字の主因だったCCRが立ち直ってくる予定ですし、前期子会社化した2社が1年を通じて業績に寄与するので、黒字幅はさらに拡大すると期待しています。

日本国内事業だけを見ると、2012年4月に日産サティオ埼玉を子会社化して以降大きなM&Aはないので、国内の業績は横ばいが続いています。
VTホールディングス
国内でのM&Aが最優先という方針に変わりはないので、国内でも大きなM&Aが決まれば業績は伸びますが、M&Aが無ければ横ばいが続くと思います。
これは同業他社も同じであり、だからこそ先行して海外展開を進めて、苦労しながらもノウハウの蓄積を進めていくことはとても大事だと思います。
5年先、10年先にはこの苦労が実を結び、競合他社とは圧倒的な差に繋がってくると思います。
海外でも効率的な自動車ディーラー運営方法VT方式を確立して、収益性の向上幅拡大と改善期間の短縮に取り組んでほしいですね。

国内と海外の部門別の粗利率を比較すると、新車・中古車部門の利益率が低いことが分かります。
VTホールディングス
国内ではカーナビやカーオーディオ、エアロパーツなどをセット販売していますが、こうした取り組みを海外でも広げていくようです。新車だけを販売していても利益率が低いのは世界共通なので、利益率を高める工夫が重要になります。
中古車部門については、海外では車を移動手段として乗りつぶすまで使うことも多く、国内の様な高品質の中古車を確保するのは難しい面もあるようです。
サービス部門は利益率は高いですが、海外では車検制度が無いので修理や点検が売上の中心になります。まだまだサービス部門の売上高自体は少ないので、定期点検入庫を増やしていくなどサービス部門の売上拡大にも取り組んでいくようです。
こうした取り組みで海外事業の効率性を高めて、今後のM&Aにも活かしていってほしいですね。
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posted by アイル at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | VTホールディングス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月12日

グループリースインドネシア事業の現状推測

Jトラストからグループリースのインドネシア事業GLFIの融資残高データが発表されました!

2016年9月の事業開始以来順調に残高が積み上がってきましたが、4月くらいから伸びてはいるものの伸び率が鈍化してきました。
GLFI
6月末に開催された昭和ホールディングスの株主総会で、インドネシア事業の融資残高目標はあくまでもJトラストが発表したもの^_^;と説明していましたが、GLの此下会長も2017年末の融資残高目標として高い目標を掲げていました。
足元の推移を見る限りでは、クボタとグループローンだけでは目標達成は厳しそうだな〜と感じます。
やはり販売店も多数あって、毎年の需要も大きい新車バイクローンをインドネシアでも拡大していく必要があると感じます。その点で地方部でバイクローンのテストを始めたのは楽しみです。

GLFI
水色の線は1月までの融資残高の伸びをベースに私がその後の伸びを予想した線ですが、6月実績では早くも割り込んでしまいました^_^;
目標はあくまで目標だと思いますし、経営トップは高い目標を掲げる事にも賛成ですが、実現不可能な目標ではオオカミ少年になってしまいますし、可能な範囲で目標達成の道筋や状況の変化などを説明してほしいと思います。
ネット上でも議論されているようですが、なぜ融資残高の伸びが鈍化しているのか、私なりの考えをまとめてみたいと思います。
融資残高に大きな影響を及ぼす要因は下記項目です。
POS数、1ディーラー当たりの販売台数、ローンを利用する割合、ローン利用客中のGLシェア
今までは現金が貯まってから買う顧客も多かったので、GLがローンを提供することで販売が伸びるなどの効果もありますが、やはり一番大事なのはPOS数で、POS網が広がっていかないと融資残高も伸び悩むと思います。

クボタは東南アジアではタイ北部エリアでの拡販に重点的に取り組んでいます。カンボジア、ラオス、ミャンマーなどが中心になります。タイが工業化したことで周辺国からタイに働きに行く人が増えて、これらのタイ周辺国では特に農業従事者の人手不足が顕在化し、農業の機械化が進んでいるからです。
一方でインドネシアはポテンシャルは大きいものの人口も多いので、トラクターなどの大型農機具が売れるようになるのはもう少し先と考えているようです。

Jトラスト株主総会の事業報告の中で、クボタディーラーにPOSを24ヵ所設置したと説明していましたが、バイクディーラーと比べるとクボタディーラーの数は圧倒的に少ないです。
クボタが力を入れているカンボジアでも、正規ディーラーは30社未満のようです。
インドネシアとは広さも人口の桁違いなので単純比較はできませんが、POSを24ヵ所設置したということは、現時点でインドネシアにあるクボタ正規ディーラーはかなり網羅している様に感じます。
POSを新たに設置すれば、そのディーラーでのローン販売分が上積みになりますが、4月以降はそうした上積み効果が減ってきているのだろうと思います。
これはグループリースの問題ではなく、クボタの戦略や事業展開スピードが現状ではGLが想定していたほどではないという事だと思います。
GLとしてもこの辺りに新たにディーラーを出したらどうでしょう?みたいな提案は行っているそうですが、バイク販売店のような出店スピードは期待できないのでしょうね。

GLがPOSを設置すると、与信判断の早さや現場にGLの社員が常駐している効果で、ローンで購入する顧客のほとんどがGLに切り替わるそうです。
競合他社に比べてGLは社員がディーラーに常駐していますし、融資可否の判断も早いのでローン希望の顧客が来たら、ディーラー側としてはまずはGLに融資が可能か依頼することになります。そしてGLでは融資が受けられない!となったら競合他社に依頼が流れるわけですが、GLでさえ引き受けられない様なスコアの案件に、競合他社が融資できるケースは少ないので、自然とディーラー内でのGLシェアが高くなります。融資判断を積み重ねて精度を高めていくと、さらにGLシェアが高くなります。
3月までは新POSの設置効果と店内シェアの獲得で融資残高を積み上げてきましたが、既存ディーラーにPOSを設置し終えてからは、ディーラー当たりの販売台数を伸ばすか、ローンを利用して購入する顧客割合を高めないと融資残高が伸びないので、減速している様に見えるのかなと思います。

クボタ本社はインドネシアはまだ人手や耕うん機などが中心だろうと考えている様でしたが、GLがインドネシアに進出して販売台数は伸びていますし、現地のクボタディーラーの経営者は店舗網の拡大に積極的な印象を受けたので、クボタの認識が変化すればディーラー網の拡大ペースが上がり、融資残高が再度伸びてくる可能性もありますが、巨大企業ですしすぐには難しそうですね^_^;
グループローンもポテンシャルは大きいですが、現状では多くの人財が必要になるので、人を育てながらだと拡大ペースには限界があると思います。
ミャンマーでもっと効率的なグループローンのモデルを作っていきたいと説明していたので、新たなビジネスモデルの確立に期待したいですね!グループローン版のデジタルファイナンスという感じなのでしょうか?

融資残高の伸びは鈍化していますが、インドネシアでもオートバイローンを始めたのは期待できますし、藤澤社長は他の商品の投入も示唆していたので、どんなローン商品を投入してくるのか楽しみです。
Jトラストは今年はIR活動にも一層力を入れていくそうなので、直接藤澤社長から話を聞く機会も増えそうで、GLの日本担当IR役員(笑)としてどんな発言が飛び出すのか楽しみにしています。
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posted by アイル at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする