2020年06月20日

Casa2020年度1Q決算分析

Casaの2020年度1Q決算(2020年2〜4月)が発表されました
第一四半期は繁忙期なので売上は伸びるものの、Casaは仲介会社への支払手数料を1Qに一括計上するため利益面では低調になります
しかしながら今期はいきなり赤字スタートとなり、サプライズな展開となりました。
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(2Qと通期計画は据え置いているので、上記グラフの2Qは計画値になります。住居確保給付金等が支給されてCasaが立替えている家賃が回収されれば、上記のような業績推移になりますが、支給が遅れれば3Qまで影響が残る可能性はありそうです)
コロナ禍の影響で家賃の立替が増え(求償債権の増加)、貸倒引当金を積み増したことが赤字転落の原因ですが、3月末頃まではコロナの影響はそれほど大きくないという認識だったので、緊急事態宣言が出された4月以降に事業環境が悪化したようです。
それでも決算説明資料を見ると、1月以降の滞納発生率は下記の通りで、それほど悪化しているわけではないですし、滞納発生率に大きな変化は見られないと書かれています。
 1月 10.6%、2月 11.1%、3月 10.9%、4月 11.1%、5月 11.5%
以前の説明でも、毎月10%程度は家賃の引き落としができなくて立替が発生するが、新規契約時の口座登録ミスや残高不足などが主な原因で、立替分の9割程度はすぐに回収できると聞いています。
今回はこれらの通常要因に加えて、コロナの影響で収入が途絶えるなどして家賃の支払いができない方が増えています。家賃の立替が発生した方には公的支援制度の案内を行い、家賃の支払いを猶予しているので、一時的に立替家賃の回収率が低下して求償債権が増加しています。
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求償債権が増加すると、立替家賃を回収できないリスクに備えるため貸倒引当金を積み増す必要があり、上記グラフの通り貸倒引当金も増加しています。
通常であれば求償債権も貸倒引当金も、保証残高の伸びに比例して増えていきますが、今回は緊急事態宣言で経済活動が大幅にストップするという状況となり、保証残高の伸び以上に求償債権が増加しています。
保証残高の伸びは上記グラフの通り順調に増加しています。

保証残高の元となる契約件数の推移は下記の通りです。
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コロナの直撃を受けても1Qは繁忙期なので、民法改正の追い風もあって新規契約件数は順調に増加しており、前年同期を上回っています。
保有契約件数も積み上がってきていて、安定収益である年間保証料の増加につながっています。

次に売上原価と販管費の推移を見てみます。
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Casaは賃貸経営をIT化するためにシステム開発を進めており、これらの先行投資を行っているので販管費が増加していますが、売上も伸びているため販管費率ではほぼ横ばいとなっています。コロナ対応で開発してきたわけでは無いですが、下記の決算説明資料に書いてある通り、管理会社向けサービスやSmart withは今月以降順次リリース予定となっています。
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さらに自主管理大家さん向けの賃貸経営支援システムCOMPASSの開発も進めています。
こうしたシステムが稼動開始し、プラットフォーム事業が伸びてくれば、不動産テック企業としてCasaの評価も変わってくると思います。

販管費は先行投資を行いながらも一定範囲に抑えられていますが、一方で売上原価は大幅に上昇して赤字の主因になっています。
売上原価率が前年同期37%に対して今期は53%と16ポイントも悪化しているので、赤字に転落するのもやむをえません。
Casaの場合1Qは利益率が低いという季節要因も赤字になった一因ではあります。
売上原価の内訳毎の推移を見れば、コロナ禍による貸倒引当金の積み増しが赤字の要因であることは一目瞭然です。
通常であれば5億円程度の予定が9億円も計上することになったので、1Qは赤字になりました。
紹介手数料は増えていますが、上記グラフの通り新規契約件数も伸びているので、想定の範囲内だと思います。
訴訟費用は4Qに増加しましたが1Qは減少し、低位で推移しています。
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今回の赤字の原因はコロナ禍による家賃立替の増加であり、Casaの経営理念でもあるお客様に寄り添った対応で、立替家賃の回収より給付金制度の申請サポートなどに優先的に取り組んだ結果だと思います。
給付金制度は開始当初は申請が殺到して、それがニュースになるくらいでしたが、体制整備が進んでスムーズに支給されるようになれば、Casaの立替家賃の回収が進むことになり、求償債権の減少と貸倒引当金の戻し入れによる売上原価の減少という形で、業績に寄与してきます
2Q末は7月なので、7月末までにどの程度戻ってくるかは分かりませんが、今後は徐々に通常モードに戻ってくると思います。

今回のコロナ禍は、他の家賃保証会社にも同様の影響を与えており、拡大路線で顧客属性が低い会社、管理会社へのキックバック比率が多い会社、規模が小さく体力の劣る会社などはより大きな影響を受けていると思います。
家賃保証会社がコロナ禍の影響を一時的に受け止めたことで、管理会社や自主管理大家さん、そして入居者の方々は家賃保証のありがたさを痛感したのではないでしょうか?
逆に家賃保証会社が破綻してしまうと、こうした保証もなくなってしまうので、コロナ後の世界では家賃保証会社の選別も一層進むのではないかと思います。
そんなことを考えながら各社の戦略を比較するのも面白いと思います。

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posted by アイル at 01:37| Comment(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする