2020年11月22日

家賃保証会社2020年Q2決算分析2

家賃保証会社各社の第2四半期決算が出揃ったので、何回かに分けて分析してみます。
2Qまでは各社とも業績は順調に推移していますが、今後の売上見通しについて考えてみます。

売上のベースとなるのは新規契約件数や保有契約件数ですが、新規契約件数は開示していない会社が多いので、まずは保有契約件数の推移を見てみます。
ジェイリースは2Qと4Qに保有契約件数を開示していたので、近似線で表示しています。今期の2Q決算では開示されなくなったのでプロットしていません。なぜ今期からジェイリースが保有契約件数を開示しなくなったのか気になりますね^_^;
他の3社は四半期ごとに開示されています。
Casaとジェイリース右端のプロットは、前期末の決算説明資料に掲載されていた今期末の目標値になります。
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Casaとイントラストは、コロナ下でも順調に保有契約件数を伸ばしています
上記2社と比べると若干伸び率は低いですが、あんしん保証も保有契約件数を積み上げています。
ジェイリースは開示されていないので分かりませんが、前期までは4社の中でも一番高い伸びを続けてきました。その反面立替家賃が増加して利益面を圧迫していたので、前期の半ばからは営業人員を債権回収部門に異動させて、債権回収に力を入れるようになりました。その結果立替家賃の回収が進んで利益面では大幅に改善しています。成長より回収に重点を変えているので、新規契約が減少して保有契約件数も伸びが鈍っている可能性があります。
再成長を目指すうえで内部管理体制を再構築するのは必要なステップですが、伸びが低下したから保有契約件数を開示しなくなったのであれば、企業の開示姿勢としては少し問題ではないかと思います。

四半期ごとの売上推移を見ると、季節変動の大小で違いはありますが4社とも順調に伸びています。季節変動の大小は、保証料の売上計上方法の違いだと思います。新規契約は3月が一番多いので、保証料を新規契約月に計上する割合が高いほど、売上の季節変動は大きくなります。
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売上は全社右肩上がりでも、前年同期比の売上伸長率推移を見ると、少し様相が変わってきます。
あんしん保証の18Q1と19Q1はブレが大きいですが、これは17Q4で引越し難民が発生して、18Q1に引越しがずれた影響が大きく出ているためだと思います。
この影響を除けば少しずつ売上伸長率も伸びている傾向です。
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イントラストは社長も強調しているように、伸長率で見てもブレは小さくて年々伸長率が高くなっています。まだ売上規模が小さいですが、理想的な成長ですね。
20Q2で低下しているのは、家賃保証事業ではなく医療費用保証の売上がコロナで横ばいだった影響だろうと思います。年々伸び率が高くなっているのも、成長分野の医療費用保証が伸びているからと言うこともできそうです。
Casaもイントラストと同じような傾向で伸長率を高めてきましたが、19Q2以降は伸長率が横ばいになっています。顧客管理を厳しくしたり、新商品の家主ダイレクトへの切り替えを進めている影響とともに、Casaは売上規模が一番大きいので、伸長率を高め続けるのは難しいという面もあると思います。
一方、ジェイリースは伸長率が一貫して下がってきています。売上規模が急激に大きくなってきたので、Casa同様に伸長率を維持することが難しくなっているとは思いますが、少し低下スピードが急すぎる感じはしますね。

今後の売上を予測するためのデータとして、前受金の推移も重要になります。
保有契約件数はジェイリースが開示しなくなったので比較できませんが、前受金はバランスシートの費目なので継続比較が可能です。ただ契約方法の違いなどから前受金の計上方法は各社異なるので、単純に比較することはできません。Casaとイントラストは保証料を12等分して毎月計上ですが、ジェイリースは2020年3月期から計上方法を変えています。詳しくは2019年3月期決算説明会資料をご覧ください。
計上方法を変えた一括支払型の商品は売上の4割程度を占めていますが、売上の半数を占めている毎年支払型(Casaなどと同様の商品)の計上方法は分かりません。
あんしん保証の前受金が少ないのは、信販会社などと提携して保証商品を提供している影響だろうと思います。
Casaやジェイリースで四半期ごとに波があるのは、3月の引っ越しシーズンに契約が増加するので前受金も積み上がり、4月以降は取り崩して売上に計上するので徐々に減っていくためです。
基本的に売上の季節変動が大きい=契約月に売上計上する割合が高い=前受金の計上額が少ないので、季節変動も小さくなる、という関係になります。
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近い将来の売上高である前受金の推移を見ると、あんしん保証以外は徐々に積みあがっていて、今後も売上が増加することが期待できそうです。あんしん保証は前受金では実態がよく分からないので、保有契約件数や保証残高推移を見た方が良いと思います。これらのデータは順調に増加しています。他の3社と比較するとあんしん保証は伸び率が低く見えてしまいますが、単独で見れば十分に安定した成長を続けていると思います。上場が2015年11月と4社の中で一番早いので、財務データの蓄積が多いのも分析する上での安心材料ですね。
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前受金についても前年同期比の推移をグラフ化してみると、下記の通りとなります。
あんしん保証は前受金額が小さいので変動率が大きくなり、一部割愛しています^_^;
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売上伸長率と同様の傾向で、イントラストはまだ金額が小さいので伸長率も増加傾向、Casaは他社の4〜6倍の前受金額なので伸長率は横ばい傾向、ジェイリースは横ばい状態から最近は低下傾向になっています。
ジェイリースは売上の伸長率も低下傾向ですが、前受金の伸長率も低下傾向に変化しているので、少し心配ですね。拡大路線を一時的に修正して内部固めを行うことは重要ですが、どのくらいの期間で再度成長路線に戻せるのか注視する必要がありそうです。
ジェイリース2019年3月期決算説明会資料から抜粋
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今回は今後の売上に影響するデータを見てきました。
売上金額だけを見るのではなくて、変化率の推移や関連するデータなども含めて見ていくとより深く理解することができますし、企業体質やビジネスモデルの違いなども見えてきて面白いです。
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posted by アイル at 13:56| Comment(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする