2020年12月10日

Casa2020年第3四半期決算分析1

先日のCasa決算分析の記事で「見た目は少し物足りなく感じますが、近い将来の売上のベースとなる保有契約件数や保証残高は順調に伸びている」と書きましたが、物足りなく感じた部分についてもう少し掘り下げてみたいと思います。
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売上が通期計画と比べると進捗が低いわけですが、Casaは1月決算のため、今期の計画は1月から2月にかけて立案していると思います。この頃は日本ではまだコロナの影響もそれほど顕在化しておらず、例年通りの新規契約獲得を織り込んで計画を作ったのではないかと思います。
3月以降は徐々にコロナの影響が拡大し、転勤が先送りされたり大学などの授業開始が先送りされたりして、転居の需要が一時的に減少しました。その結果として転居せずに当面は住み続けることになり、同業他社も含めて契約の継続が増えて、新規の契約は計画よりは伸びが鈍っているのだろうと思います。
新規契約件数を四半期ごとに開示しているのはCasaだけなので、データで確認できるのはCasaだけですが、期首計画の新規契約件数を達成するには4Qに3.8万件ほど契約する必要があります。過去のトレンドから考えると良くて3.4万件程度であり、4千件以上は計画を下回りそうです。
一方で保有契約件数はほぼ計画通りに推移しているので、新規契約が減った分は既存契約が計画以上に継続されていることになります。
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既存契約が継続されると年間保証料1万円が売上計上されますし、今までの家賃支払いの実績も分かるので貸倒れリスクは把握しやすいと思いますが、その反面売上は計画より減少することになります。
契約者の平均家賃を8万円とすると、新規契約の場合は4万円がCasaの売上となります同じ1件の契約でも年間売上は1万円と4万円の違いが発生します。この差が売上が計画を下回っている要因ではないかと思います。
同業他社はすべて3月決算なので、今期計画を立案したのが3月から4月にかけてだと思われ、コロナの先行きが一番見通せなかった時期にあたります。新規契約が伸び悩み既存契約の更新が増えていることも計画に織り込むことが可能ですし、コロナの影響も過度に計画に織り込んでいたのではないでしょうか?それが現状では計画を上回る実績として表れている気がします。
来年の3月から4月初めにかけての、転居を伴う人の移動がどの程度になるかで、家賃保証会社各社の業績も変わってきそうですね。
今年異動を最小限にした場合、来年は異動が多くなるかもしれませんし、テレワークが定着すれば都心を離れる転居需要が増えるかもしれません。
本来は4月の民法改正の追い風を受けて新規契約が増えていく予定でしたが、コロナの影響で追い風が吹いているのかよく分からなくなりましたが、春になってコロナも落ち着いていけば、追い風もはっきりしてくるのではないかと期待しています。

既存契約の継続が増えて、新規契約は計画を下回っているということを売上の内訳からも確認しようと思い、売上の内訳推移をグラフ化してみましたが、仮説を裏付けるようなグラフにはなりませんでした^_^;
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Casaは受取った保証料を1年間に按分して売上計上しているので、四半期ごとの売上内訳を見てもすぐに効果が出てこないようです。
このグラフを見ると新規契約に伴う初回保証料が順調に伸びていますね。2Qは少し伸びが鈍いように感じますが、3Qでその分も挽回しています。売上で見ると新規契約が健闘していて、年間保証料売上比率は横ばいから若干の低下となりました。
2018年の3Qと4Qは少しデータがおかしいのではないかと感じます。年間保証料が四半期でこんなに変動するとは考えにくいので、平均してみた方が良いのかなと思います。点線で表していますが、こんな推移なのだろうと思います。

次にコスト面ですが、販管費は今期はシステム投資などの先行投資期間なので、販管費率50%程度で推移しています。投資が一巡すれば来期以降徐々に販管費率は低下していくことになります。
原価部分で利益への影響が大きくて、四半期ごとの変動も大きいのが貸倒引当金繰入額です。これは毎年なかなか読みにくくて業績を見誤る要因になってきましたが、現状の貸倒引当金の推移は下記の通りです。
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コロナによる一時的な家賃立替の増加で、1Qに求償債権・貸倒引当金ともに増加しています。2Q以降は住宅確保給付金など公的な支援体制も徐々に整備され、求償債権の伸びも小さくなり、貸倒引当金の必要額も徐々に低下してきました。
求償債権に対する引当率も徐々に低下して60%となっていますが、過去の水準と比較してもまだ引当率が高いと思います。4Q期間中も現状の滞納発生率程度で推移すれば、戻入れで増益要因になるのではないかと思います。
最初のグラフの経常利益推移を見ると分かるように、ここ2年ほど4Qの利益が3Qより落ち込んでいます。これは貸倒率の洗い替えによる貸倒引当金繰入れ額の増加の影響が大きいので、そろそろ今期くらいからは逆に作用して原価を引き下げて利益が増えることを期待しています。

同業他社も含めた貸倒引当金割合の推移は下記の通りです。
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Casaの貸倒引当金割合は60%ですが、同業他社は50%以下とCasaより低いですし、Casaも以前は50%程度だったので、引き下げ余地はあると思います。50%以上も引き当てていたことがあるのはイントラストとCasaだけなので、他社並みの40〜50%程度で十分なのではないかと思います。
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2020年12月09日

Casa2020年第3四半期決算概要

Casaの第3四半期決算が発表されました。
四半期業績推移は下記の通りです。通期業績は据え置かれているので、4Qの計画は右端のグラフになります。
過去のトレンドと比較すると、繁忙期でもない4Qの売上がここまで伸びるのは難しそうなので、売上は計画を下振れそうです。
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利益面でも4Q計画は高めに見えますが、利益は4Qで洗い替えされる貸倒引当金次第で大きく変動するので、計画通りに着地する可能性もあると思っています。

売上原価と販管費の推移は下記の通りです。
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販管費は不動産テックに対応したDX投資や、賃貸経営をサポートするためのシステム投資などを行っているので、増加傾向が続いています。決算補足資料ではシステム投資1.4億円増加となっています。売上も増加しているので販管費率としてはほぼ50%の横ばいとなっています。
一方で売上原価率は前年同期と比べて5ポイントほど増加しています。
コロナの影響で1Qに家賃の立替えが増加して、貸倒引当金を積み増した影響が売上原価に表れています。
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1Qに貸倒引当金を多めに繰り入れた影響で売上原価が増加して、3Qまでの累計でも物足りない決算になっていますが、立替えている家賃の総額である求償債権は下記グラフの通り2Q以降は横ばいで推移しており、保証残高の伸びに沿った水準まで低下しています。1Qにコロナで一時的に増えた立替家賃は、下記のグラフを見る限り3Qまででほぼ正常化したのかなと思います。
コロナ下でも売上のベースとなる保証残高の推移は上昇トレンドを継続しており、安心感がありますね。
現状の貸倒引当金は過去のトレンドと比べても1Qで積み増しし過ぎている感じです。
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貸倒引当金は過去3年間の平均値を使用しており、2020年3Qまでは2017年から2019年までの平均値を使用して計算しています。2016年、2017年は回収方法の変更で貸倒れ率が悪化した年度なので、現状は実際に必要な額よりも多めに貸倒引当金を積んだ状態になっていると思います。
4Qになると2018年から2020年の貸倒実績率の平均に置き換えて算出するので、貸倒が高水準だった2017年の実績が外れて2020年の実績に置き換わり、必要な貸倒引当金が減少して利益増加要因になるのだろうと予想しています。

新規契約件数と保有契約件数の推移は下記の通りです。
新規契約件数と保有契約件数も期初に今期末の計画値が公表されているので、右端にプロットしています。
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4Qの新規契約がここまで伸びるとは思えませんが、保有契約件数はほぼ計画通りの着地となりそうです。
今期は同業他社も契約を継続する顧客が多かったと説明していますが、コロナの影響で移動が制限され、転勤や引越しなどが例年より減少し、そのまま居住を継続した人が多いのだろうと思います。新規契約が計画を下回っても、既存契約の解約が計画を下回れば保有契約件数は計画通りになります。同業他社もそのような感じなのだろうと思います。

ざっと3Q決算を見た印象では、見た目は少し物足りなく感じますが、近い将来の売上のベースとなる保有契約件数や保証残高は順調に伸びているので、心配する必要はないのかなと感じました。

最後に1年以内の売上の先行指標となる前受金の推移グラフも載せておきます。
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前受金も順調に積み上がっていますね。直近で前受金が増加傾向なのは、Casaとイントラストの2社だけですし、前受金の絶対額はCasaが圧倒的に大きくなっています。
今回の問題の影響がどの程度になるのかは分かりませんが、早めにきちんと調査いただいて、正常化してほしいと思います。
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2020年12月06日

Casaの週刊文春記事について

12月2日夜に驚きのニュースが飛び込んできました。
11月中頃には同業他社の好調な決算発表も終わり、比較記事も順調に書き上げつつ、あとは12月8日のCasaの第3四半期決算を楽しみに待つだけという状況でしたが、まさか文春砲がCasaを直撃するとは想定外でした。

Casaは2017年10月末に東証2部に上場しましたが、同業他社と比べて割安と判断して上場後間もなく株主になり、上場後最初の2018年の株主総会にも参加しました。
総会後の事業説明会で宮地社長のこれまでの歩みやCasaの目指す姿などを熱く語っていただき、応援したい経営者、会社だと思い、微力ながら一株主として応援してきましたし、今後も応援していきたいという気持ちは変わりません。
私たちが主催している勉強会にも東京3回、名古屋1回の合計4回登場頂いており、最初の3回までは宮地社長にも登壇いただいて熱く語っていただき、元気をいただいてきました。ここ1年ほどは後継者を育成するためだと思っていますが他の役職員の方が説明するようになり、2020年8月に開催した会社説明会でも、取締役の松本さんと高杉さんに来ていただきました。
現時点では限られた情報しかありませんが、Casaの会社説明会に参加した方などで心配している人もいるでしょうから、文春記事を読んで感じたことなどをまとめてみます。

不動産の流動化事業で急成長し、その後破綻したリプラスの家賃保証事業を切り離して生まれたのが今のCasaです。家賃保証事業が破綻してしまうと保証が無くなってしまうので、契約している賃借人や賃貸物件を管理している管理会社などに多大な迷惑をかけることになります。そのような背景や破綻したリプラスの中でも家賃保証事業自体は黒字だったこともあり、なんとか家賃保証事業を継続しようと支援者探しに奔走したり、様々な問題解決の先頭に立ったのがリプラスに中途入社していた宮地さんです。初期の頃はリプラス破綻の負の遺産の影響で信用もゼロ、銀行借り入れももちろん不可能です。手元資金にも困窮するような敗戦処理状況からスタートし、火中の栗を拾う形で社長を引き受けることになりましたが、その後も様々な修羅場を切り抜けて事業を軌道に乗せて、東証1部に上場するまでに育て上げました。
2018年の株主総会に参加したり、1回目、2回目の勉強会に参加いただいた皆さんはご存じだと思いますが、Casaを軌道に乗せるまでには苦難の道を乗り越えてきており、想像を絶するピンチや修羅場を何度も乗り越えてきた経営者です。常人であれば修羅場に遭遇したら逃げ出したくなるものですが、逃げずに真正面からぶつかり、乗り越えてきた人だと思っています。
今回の発言内容はとても残念ですし、修羅場を乗り越えてきた肝の据わった人ですから、部下に胸倉を掴まれたとしても冷静に対処してほしかったとは思いますが、今回の問題も真正面からきっちりと対処して乗り越えて、一回り大きくなってさらに前へ進んで行ってくれると信じています。

公開されているのは宮地社長の発言部分のみであり、両者がどのようなやり取りをしてこのような発言に至ったのかは分かりませんが、それでも発言自体についてはきちんと謝罪する必要があると思います。
一方で、何も問題が無いのにこのような発言をする人ではないと思うので、このような発言に至った原因がきっとあると思います。どうしても許せない想いが、一連の発言という形で表に出てしまったのだろうと思います。相手方もあることですからどこまで明らかにできるかは分かりませんが、事実関係の調査を行うということですので、会社側からの調査結果の公表を待ちたいと思っています。

文春記事で相手方のA氏とされている方とも、たぶん何度もお話したことがあると思います。
私の印象ではとても温厚な方であり、とても社長の胸倉を掴むような人だとは思えません。どうしてここまで問題がこじれてしまったのだろうと思うと残念でなりません。
ここまでこじれてしまった問題を解決するのは大変だと思いますが、弁護士など第三者を通して粘り強く解決していくことを期待しています。

文春の記事の中で、『輩と付き合っとる』は反社会的勢力との交際をほのめかすものであり、上場企業の代表取締役としてコンプライアンス上問題であり、適格性の問題になり得ると指摘されており、ネット上でも同様のコメントが散見されますが、『輩と付き合っとる』という発言は輩と交友関係があるという意味で言ったのではないと私は思っています。
家賃保証事業を行う上で債権回収は避けて通れない道であり、家賃を滞納して踏み倒そうとする一部の方々の中には輩的な人もいるでしょうが、そういった方からでもできる限り回収しなければなりません。できれば輩の方々とは交渉したくないでしょうし、滞納家賃を回収するのは通常のケースより遥かに難易度が高いでしょうが、そういった方々との修羅場を何度も乗り越えて回収してきた、だから胸倉掴まれるくらい怖くもなんともない!という思いから『輩と付き合っとる』という発言が飛び出したのではないかと思います。
なので、Casaから発表された「記事の一部に当社代表取締役と反社会的勢力との関係を想起させる記事が掲載されておりますが、当社内で確認した結果、現時点でそのような事実はございません」という発表になっているのだろうと思います。
特別調査委員会で徹底した調査を行うと発表されているので、結果を待ちたいと思います。
繰り返しになりますが、数々の修羅場を乗り越えてきた宮地社長ですから、胸倉を掴まれた程度なら冷静に対処してほしかったなという気はします。
ビビりな私の場合、胸倉を掴まれたら声も出ないと思いますが^_^;

文春の記事を受けて3日以降のCasaの株価は大きく下落しています。
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正直3日はストップ安貼り付きになるだろうと覚悟していたので、6%くらいの下落で寄り付いたのは意外でしたし、その後さらに下げたとはいえ10%程度の下落で収まったのも予想外でした。170万株という出来高にも驚きましたね。
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翌4日も前日終値水準からスタートし、寄付き後は前日比プラスで推移していたので、とりあえず今回の記事は株価に織り込んだと思い、慌てて買い増しを行ったところ、その後ズルズルと下がってしまい、株価の動きは難しいな〜と毎度のことながら痛感しています。問題発生で売りたいなら、出来高も急増した3日に売り切ってくれればスッキリするのに^_^;
今回の文春砲で同業他社の株価も影響を受けました。
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ヤフー掲示板ではCasaからお客さんも株主も流れてくるという強気の発言が多かった印象ですが、株価的には連れ安という感じでした。この動きも意外でしたが、他社にも同様のリスクがあるのではないか!?と懸念されたのでしょうか?
その中でもイントラストは一足先に株価が戻っています。

来週8日にはCasaの第3四半期の決算発表が予定されており、その内容とともに株価の動きからも目を離せない1週間になりそうです。
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ラベル:Casa 文春砲
posted by アイル at 02:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする