2012年03月03日

ダブルスコープの分析1

2012年2月26日(日)に日興アイアール主催で行われたダブル・スコープ個人投資家向け会社説明会に参加しました。説明会の様子は下記のレポートをご覧ください。
   ダブル・スコープ会社説明会レポート
新規公開株はどんな会社でも注目されるので上場当初は人気化しますが、人気は移ろいやすく少し経つと人気も下火になり、株価も下がり出来高も細ってしまいます。特に新規公開株の場合、次のIPO株が登場するとそちらに人気が移ってしまうので、よほど素晴らしい会社でない限り長続きしません。
私も何度か新規公開直後に投資して大きな失敗をしているので、最近は近寄らないようにしています(^_^;)
ファンダメンタル重視派としては、新規公開企業は分析する材料に乏しいので投資判断がし難いという理由もあります。2期分の財務諸表だけで判断しろ!というのは無謀だと思います。

そんな前振りをしながらも、せっかく説明を聞いてきたので、今回はダブル・スコープについて分析してみたいと思います。材料が少ない中での分析ということをご理解ください。
新規公開時の目論見書と決算短信から業績推移を見てみると、確かに急速に成長しています。
ダブルスコープ
セパレータは2003年に開発できたようですが、資金調達に苦労したようで会社を設立したのは2005年10月です。2005年度は3ヵ月弱であり、実質2006年度が初年度になります。そして韓国にセパレータ生産工場の建設を始め、2006年4月に第1号ラインが完成しました。2006年7月にはサンプル品の出荷を始めますが、ちょうどソニーのノートPCがリチウムイオン電池から発火する事故があり、リチウムイオン電池に対する安全基準が厳しくなり、この対応に1年かかったそうです。そして2007年6月から量産出荷を開始しました。2011年2月には第2号ラインが完成しています。

こうした経緯と上記のグラフを併せて見ると、量産出荷を開始したものの2年近くはほとんど出荷がなく赤字が続いていたことが分かります。それにしても赤字額が少ないのが目を引きますね。2006年はほとんど売上がないのに赤字は1.8億円です。開発を続けたり、工場を建設したり、サンプル品を配ったりと経費がかかりそうなんですが、2008年までの赤字が異様に少ないように感じます
バイオベンチャーだと巨額の赤字が続くものですが、セパレータの開発・生産準備にはそれほどお金がかからないのでしょうか?大手の化学会社は巨額の費用をかけてセパレータの開発に取り組んだが失敗した、という崔社長の説明と矛盾しているようで、この点は不思議です。他社は開発に多額の投資が必要だったが、ダブルスコープはお金をかけずに開発できたということなのでしょうか?

2009年から本格的な出荷が始まり、経常利益も黒字に転じます。2010年まで利益は低水準でしたが、2011年3Qの大幅な増収増益という実績を元に2011年12月16日に東証マザーズに上場しました。
2012年2月10日に発表された決算短信では、2011年実績は売上倍増、営業利益6.3倍、経常利益9.9倍、純利益4.7倍となっています。
2012年の計画は売上66%増、営業利益59%増、経常利益67%増、純利益66%増です。
前期の急成長からは数値上見劣りしますが、上記グラフの通り順調な成長を見込んでいます。
これだけ見ると素晴らしい成長企業ですが、今期は計画値であり好業績の実績はまだ1年しかありません。
後から振り返ってみると、業績のピークで上場したんだな〜という会社も結構あるので、ダブルスコープが今後も本当に成長を続けられるのかよく考える必要があります。
セパレータの開発は難しく参入障壁が高いと説明していますが、ダブルスコープはそれほど費用もかけずに短期間でのセパレータ開発に成功している訳であり、同じことが他社でもできないとは言い切れません。2015年には世界一を目指しているわけですから、生産開始から実質7年で世界一になることも不可能ではない業界ということになります。リチウムイオン電池は数少ない成長分野であり、参入の機会を窺っている会社はたくさんあると思います。確かに夢はありますが、崔元根社長の考えているように、競合他社を押しのけて世界一になれるかはまだ不透明です。
世界一となる2015年の業績は下記のように予測しているようです。
ダブルスコープ
足元の勢いのまま2015年まで突っ走れば、不可能ではない数字に見えます。
それでも営業利益で見ると今期計画の2.2倍にすぎません。実質PERが25倍程度なので2015年計画でもPERは11.4倍程度であり、特に割安という水準ではありません。もちろん年率30%の成長を続ける会社であれば、PEGレシオが0.38となり割安だと判断できますが、その前提として2016年以降も年率30%の成長を続けられると多くの市場参加者が考える必要があります。
2011年の実績だけからそんな先までの成長を織り込んでしまって大丈夫かな〜と感じますね。
現状のセパレータ大手も開発に力を入れているでしょうし、普及が進むにつれてセパレータ価格も下がっていくと思います。世界一を目指してダブルスコープは生産能力の増強に突き進みますが、競合他社も世界一を死守するため、あるいは世界一を目指して生産能力の増強・競争力のある製品開発に力を入れると思います。
数年後には生産能力が過剰となり、さらなる価格競争に突入する可能性もあります。崔元根社長の思い通りに進むのかよく検討する必要があると思います。

ダブルスコープ
公募価格は2,500円ですが、上場以降公募割れでの株価推移が続いています。
初値は2,300円であり、この水準に近付くと売りが増えて反落してしまうようです。
2月10日の決算発表後に株価が急落していますが、上場時に発表していた2012年の中期計画値と比べると2桁の減収減益計画になったのを嫌気したようです。
ダブルスコープ
2011年の実績も計画と比べると減収増益となっています。
わずか2ヵ月ほどの間にこれだけの見込み差が出てくるわけですから、4年後どうなっているかは正直なところ崔元根社長にも分からないのではないかと感じます。それを我々個人投資家が見通せるかは少し疑問に感じますね。

ダブルスコープの分析2では、株価にとって最大の問題とも言える株主構成を見てみます。
   ダブルスコープの分析2
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posted by アイル at 11:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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