2017年03月10日

グループリースの株価下落について

グループリース関連の株価が大幅に下落しています。
グループリースの2016年度の監査済みfinancial statementsに書かれている注記について、それ以外にも問題があるんじゃないの?という思わせぶりな記事が、タイの株式新聞KhaoHoon紙に掲載されたことがその原因です。
昨年の秋から今年の2月まではGLの成長性に注目が集まっていましたが、3月に入ってからは一転してリスク面に関心が移ってしまいました。

元々の発端は、2月28日に開示されたGLのfinancial statementsで、SMEローンについての注記が載っていたことです。
英語が得意な方は、下記のGLホームページから2月28日付financial statementsをダウンロードして、3ページ目のEmphasis of matters(強調事項)部分をお読みください。
 2016年度GL financial statements


Emphasis of mattersって何だろう?と思い検索してみたら、下記の文書が見つかりました。TACのCPA講座用のテキストサンプルの様です。
 TACのCPA講座用のテキストサンプル?
これによると、
監査人が必要と判断した場合、監査報告書にemphasis-of-matter paragraph(強調事項区分)が付加される。強調事項区分は、財務諸表において適切に開示されている事項ではあるが、利用者の理解を得る必要がある重要な事項について言及する場合に使用される
この強調事項によって監査人の意見が変わるものではないと記載する。

と書いてあります。

SMEローンはカンボジアで2015年から始めた新しい事業です。
GLはカンボジアで主にバイクの割賦販売を行っていますが、融資の受付窓口(POSと呼んでいます)をバイク販売店の中に設置しています。
販売店にバイクを買いに来たお客さんに、分割払いでバイクを買うことができますよ!とお薦めして、融資の申込みを受け付けています。申込みがあった場合は、顧客の自宅まで訪問して、近所の人々にもインタビューをしたうえで、融資可能か判断して契約を結んでいます。
今まではこの事業が中心でしたが、2015年からバイクの販売店にも融資を行うようになりました。これがSMEローンです。
バイク販売店がもっとお店を広くしたいとか、お店を改装したい、バイクの在庫台数を増やしたいなど事業拡大に繋がるような小口の融資を行っています。バイク販売店の事業が大きくなればGLのバイク融資契約も伸びるので、お互いにメリットのある事業です。
2015年に始めたばかりの事業ですが、需要に合った事業なので実績も大きく伸びています。
下記のグラフの赤色部分がSMEローンの売上になります。(単位は千バーツ)
グループリース

2016年の決算書の監査で、このSME事業を実際に行っている大手2社への融資に対し、担保が十分に取れていないという注記が付きました。
実際のSME融資はカンボジアで実施されていますが、法律が整備されている事や税制面でも有利なことから、シンガポールとキプロスからSME融資事業を行っています。
確かにFSを読めば書いてありますが、私はSME融資はGLのシンガポール子会社GLHから直接行っていると思っていました。実際にはGLHからシンガポールとキプロスの会社に融資し、ここからカンボジアのバイク販売店向けにSMEローンを提供していました。
シンガポールの会社への融資額が56百万$(2,016百万バーツ)、キプロスの会社への融資額が40百万$(1,416百万バーツ)となっています。

これらの2つの会社へのSME融資用資金に対する担保として、GL株、キプロス・ブラジルの不動産、キプロス国債、海外株式などを取っています。
担保でのカバー率は、キプロス分106%、シンガポール分が238%ですが、監査法人はGL株(自社の株)は担保にカウントすべきではないと指摘しました。GL株を担保から除くと、カバー率が60%と53%になります。
何か不適切な処理をしているわけではなくて、融資に対する担保のカバー率が低いという指摘です。

この部分をKhaoHoon紙は膨らませて、これだけで終わるわけがないという感じの記事を掲載し、株主が不安を感じて一斉に売りに走って株価が急落しました。

GL株を担保から除くとカバー率は下がりますが、SME融資が不良債権化している訳ではないので、この問題だけなら現状で特に問題になることは無いと思います。
融資先のバイク販売店にはGLの社員もいるわけですし、日々販売店の経営状況もチェックできます。
SME融資を行った結果、お店の業績が伸びているのかどうか直に把握できるので、不良債権化しにくいビジネスモデルだと思います。

監査済みのfinancial statementsで、この注記だけであれば特段の問題はないと思いますが、「これだけで終わるわけがない」という思わせぶりな部分が株主を不安にさせています。
その根底にはAPFは信頼できる存在になったのか?という根本的な問題が横たわっています
この問題が今後どのように展開していくのか現時点では分かりませんが、GL経営陣がこの問題に対してどのように対処し、問題解決を図っていくのか?は重要だと思います。
まずはタイ証券取引所から求められている13日期限の報告内容を見守りたいと思います。

今回の問題は、APFが真に社会に役立つ存在になったのか?を見る試金石になるような気がしています。
GLはファイナンスのディスカウンターであり、事業展開エリアが広がるにつれて快く思わない人たちも増えるでしょうから、今後も同様の問題が起こりうると思います。
主張すべきは丁寧にきちんと説明し、毅然と対処する部分は感情的にならず粛々と対処する、大人になった姿を見せてほしいですね。
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posted by アイル at 01:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、今回のGL急落の件で色々検索していたらこのブログに辿り着きました
私も、2年前からGLの株主なんでとても参考になります
なかなかGL株持ってる人がいないので嬉しいです
日本の関連会社含め、ずっと監視してますが筆者さんの言う通り今回の件で、真っ当な会社になってほしいですね
錬金術のロジックには、素晴らしいものがあるので、今回の件もどうにか乗り切れるでしょう

これからの展開に期待が膨らみます
見てなかったら見てみてください
https://www.youtube.com/watch?v=163h3_F3oKc

とりあえず、来週どのような評価が下されるか、目が離せませんね
また遊びに来ます
Posted by あず at 2017年03月10日 21:22
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