2017年04月09日

タイでの今後の戦略について

タイでのグループリースとタナバンの今後の戦略について、思い出しながらもう少し詳しくまとめてみます。

まずグループリースの沿革を振り返ってみると、グループリースは1986年5月6日に設立され、当初は自動車向けの分割払い購入の会社として事業展開していましたが、1990年代に徐々にバイク向けの分割払い購入に特化するようになりました。
そして2007年にAPFグループが株式市場でTOBを行い大株主になりました
その後与信判断の迅速化など事業改革を行うとともに、2011年からは新たなビジネスモデルで周辺国への進出も開始しました。2014年にはタイで同業のタナバンを買収しています。
時を同じくして2014年頃からカンボジアでの業績が拡大期を迎え、現地にフィットしたデジタルファイナンスモデルが成功したことで、海外での業績の伸びが大きくなりました。
その結果、既存のタイ事業の比率が低下することとなり、タイ事業は今後もさらに縮小していくのではないか?という懸念が現地では広がっていたようです。

カンボジアでは現地資本のホンダNCXと独占契約を結んで、NCX認定ホンダディーラーの店内でhire purchase(分割払い購入、割賦販売)を行っています。ホンダバイクについてはグループリースしかhire purchaseを提供できない独占契約ですが、逆にホンダ以外のバイクに対してGLがhire purchaseを提供することもできません。ただカンボジアはホンダバイクが95%ほどのシェアを占めていて、ほぼ独占という特殊な市場なのでNCXと独占契約を結んだ意味は大きいです。
一方、タイで手掛けているバイク向けのhire purchaseは、どのメーカーとも独占契約は結んでいません。なのでホンダやヤマハ以外の現地メーカーや中国メーカーのバイクにも融資することは可能です。
しかし融資の担保は販売したバイクになるので、バイクの担保価値が重要であり、現状は品質が高くて担保価値も高く推移している日本ブランドのバイクが融資対象になっています。
中古バイクに対するhire purchaseやmoto for cash(顧客が保有しているバイクを担保に少額融資を行う事業)も同様に、日本ブランドのバイクが融資対象になっています。

新車バイクのhire purchaseは銀行系のアユタヤリーシングなど競合も多く、成長してきたもののグループリースは4〜5位の規模に位置している。ここ数年ポートフォリオの質向上のために融資を絞ってきた影響で、タナバンを含めてもシェア順位は変わっていない様ですね。

一方タナバンが手がけてきた中古バイクのhire purchaseは、競争相手が居なくてブルーオーシャンになっている
中古バイク販売店
バンコクの中古バイク販売店の店頭の様子
店内にはタナバンのPOSが設置してあります。
中古バイク販売店
タナバンはhire purchaseを提供する中古バイク販売店を増やしてきたが、GLが取引している新車バイク販売店の中にも中古バイク販売店を持っている会社はある。新車バイク販売店を4〜5店舗展開している様な大きなディーラーは、中古バイク販売店も1店くらい持っているので、今後はGLの取引先にも中古バイクのhire purchaseを提供していく。ただ再販売価値が重要になるので、価値が落ちにくくて価値が把握しやすいホンダやヤマハなどの中古バイクに限定して提供していく。

新車バイクのhire purchaseも、今までは100〜150ccの普及価格帯のバイクが中心だったが、500ccクラスの大型バイク向けのhire purchaseも提供していく。普及価格帯に比べると販売台数は少ないが、対応していないとこの部分はライバル会社が入ってくることになるので、バイク販売店が必要としているサービスをトータルで提供できる体制に変えていく

また、新車バイク購入時には古いバイクを下取することもあり、下取バイクの扱いにも困っていた。下取バイクについてはGLが主催しているバイクオークションを活用して、現金化することを提案していく。
下取バイクの処理に困っている販売店は多いので、オークションで売れるのは感謝されるし、下取バイクを売ったお金で、オークションでバイクを仕入れる事もできる。落札時にも落札した中古バイクを担保にGLから融資できるので、オークション+ファイナンスは強力なビジネスモデルであり、ディーラーなどの顧客からも喜ばれる
ヤマハバイク
バンコクのYAMAHA新車バイク販売店の店頭の様子
店頭にも店内にも多数のバイクが展示してあり、バイクの在庫台数も多いので運転資金も多く必要になりそうです。バイクの購入客だけでなく、販売店向けの融資需要も大きそうですね!
金利水準次第なんでしょうが^_^;
ヤマハバイク
販売店ではバイクの在庫管理なども大変なので、こういった部分も含めてトータルでバイク販売店の経営をサポートするようなサービスを提供して、何でもGLに相談してもらえる様な形に変えていく。
トータルソリューションを提供していく上で、バイク販売店にGLの社員が常駐していることは強みになる
GLはBtoB、タナバンはmoto for cashなどのBtoCと棲み分けていく。
タナバンはGLの顧客ベースがあるので、有利に事業展開することができる
グループリースから融資を受けて新車バイクを購入し、完済した優良顧客にmoto for cashの案内を送るなどのシナジー効果が見込めるので、タナバンの事業も伸びそうですね。グループリースが融資しているのはホンダやヤマハなどのバイクで、車種も分かっているので担保価値も把握しやすいです。
自社でオークションを運営していることから最新の落札価格も分かるので、落札価格から一定額を割り引いて、この位融資できます!という案内もできそうです。中古バイクは新車バイクより価値の落ち方が緩やかなので、この点からも貸倒れリスクが低くなります
新車バイクは買った時点で中古バイクになるので価値が急落しますが、そこからは少しずつ減価していくので不良債権になりにくくて、新車バイクの不良債権比率が4%程度なのに対して、中古バイクのhire purchaseの不良債権比率は2%程度と低い
たとえ返済が滞っても、担保の中古バイクを回収してきてオークションにかければ、貸出金は回収可能でマイナスにはなりにくい。

田代社長が1年以上かけて全国の販売店を回り、顧客の声に耳を傾けながら立案した戦略は、以前からグループリースが手掛けていたバイクオークションとも連動していて、グループリースらしい戦略だと感じます。
バイクオークションを手掛けている会社は複数ありますし、ファイナンス会社は多数ありますが、両方を手掛けている会社はGLだけです。
バイクオークションを核にして、新車バイク販売店にも中古バイク販売店にも喜ばれて、グループリースとしても融資対象が広がって事業の拡大が期待できる素晴らしい戦略だと思います。
昨年末のウェッジホールディングスの株主総会でも、此下社長から田代さんに「タイの事業もカンボジアには負けないよね?(笑)」的な挑発発言?がありましたが、本拠地タイでも新たなビジネスモデルを確立しつつある自信があるから、上記の様な発言に繋がったのかな?と感じました。

今まではカンボジアやインドネシア、ミャンマーの成長ばかりがクローズアップされていましたが、今後はタイでの取り組みについても紹介される機会が増えると良いですね。
午後は、タイでの今後の戦略のキーとなるバイクオークション会場の見学に行きました。
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posted by アイル at 22:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 投資姿勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。

投資家の鑑ですね。

可能でしたら、GL関連株の投資家による視察ツアーを企画してください。
Posted by 大旦那 at 2017年04月10日 01:02
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