8月25日にCasaの宮地社長をお迎えして、第2回東京勉強会を開催しました。
多くの個人投資家の皆さんに参加いただき、宮地社長の熱のこもったプレゼンもあり、良い勉強会になったのではないかと思います。
第1回の勉強会は2社に登場頂きましたが、質問が途切れず時間が足りなかったので、今回は1社に絞って深堀勉強会と銘打って開催しました。
とはいえ4時間近くも1社の質疑応答というのは難しいだろうと思い、説明を聞いてどう感じたかなど個人投資家で議論する座談会も予定していました。しかしながら今回も質問が途切れず、結局座談会の時間が無くなってしまいました^_^;
現在参加いただいた方にアンケートをお願いしていますが、座談会を楽しみにしていた!という声も多くいただいているので、ブログ上で座談会をすることにしました。
賃貸契約を結ぶ際は連帯保証人が必要になることが多いですが、社会情勢の変化により家賃保証会社を利用する割合が高まっています。
今後民法改正で連帯保証人の要件が厳しくなることから、さらに家賃保証会社の利用が増えていきますし、信用力の高い大手企業のシェアが高まっていくのではないか?と想定しています。
(画像クリックで拡大 以下同様)
家賃保証会社は4社上場していますが、売上ではCasaがトップクラスです。
信販系など非上場の大手が5社ほどあり、これらの会社は売上計上方法が異なることも影響して、Casaより若干売上規模が大きい会社のようです。
同業他社と言っても、4社の規模や戦略は異なっているようです。
株価推移を見ると、Casaとジェイリースは比較的安定推移で、イントランスはボラが大きくて往って来い、あんしん保証はいろいろ問題発覚もあったりして下げ続けてきた感じです。
各社の決算説明資料などを読み込んでまとめてみましたが、少数精鋭で利益率も非常に高いイントランス、まだ規模が小さいあんしん保証、地域密着で地盤の九州から全国展開を目指すジェイリースという感じです。地域密着で拠点数を増やしていることから、ジェイリースは社員も多く利益率も低めになっています。
各社の決算説明資料などを読み込んでまとめてみましたが、少数精鋭で利益率も非常に高いイントランス、まだ規模が小さいあんしん保証、地域密着で地盤の九州から全国展開を目指すジェイリースという感じです。地域密着で拠点数を増やしていることから、ジェイリースは社員も多く利益率も低めになっています。
Casaは元々破綻したリプラスの家賃保証事業を継承して誕生した会社であり、ファンドへの事業売却やMBOを2回行っていることから、2019年Q1末で40億円ほどののれんがあり、この償却も表面上の利益を下押ししています。
それでも15%ほどの経常利益率となっており、イントランスには差を付けられているものの、その他2社には倍近い差を付けています。
のれんの影響を除けば18%近い利益率になると思います。
Casaは大手の管理会社向けの売上(Casaダイレクト)が6割を占めていますが、今後は管理会社を使わない自主管理大家さんや小規模な管理会社にも力を入れていく予定です。
この分野向けには家主ダイレクトという商品を投入し、顧客の開拓を進めています。
これらの先行投資も最近の利益率低下に影響しています。
Casaの過去の業績推移を見ると、売上は順調に推移していますが、ここ2年ほど利益率は低下し、利益も横ばいが続いています。
上述の先行投資も一因ですが、家賃滞納発生後の回収方法を見直したことが業績に大きな影響を与えました。
回収率が低下したことで貸倒費用などが増加し、利益の足を引っ張りましたが、宮地社長の理念の浸透が進み、来年初め頃に一時的な回収率悪化に伴う影響はなくなる見込みです。
それ以前は24%近い利益率を上げていたので、悪影響が無くなれば20%以上の利益率に回復してくるのではないかと期待しています。
家主ダイレクトで他社が手付かずの自主管理大家市場を開拓していくこと、大手管理会社向けCasaダイレクトもプライシングを見直してシェアを取っていくことで売上も増加し、不良債権の影響が小さくなることで利益率も高まることから、来期以降はまた成長路線に戻るのではないかと期待しています。
以上が私が感じた印象ですが、株式市場の評価はPERで見ると競合他社が20〜30倍に評価されているのに対し、Casaは15倍程度で今後の成長性がまだ株価に織り込まれていないのではないか?という感じがします。
もちろん外部環境の影響を受けやすい業種というディスカウント要因もあると思います。
しかしながらCasaの主力事業の家賃保証業務は、ストック型ビジネスで、不況時にも比較的強いという説明もあり、今後の安定成長も期待できると思うので、もう少し評価されても良いのではと感じました。
(1)他社も安定したストックビジネスと説明しているが、リーマンショックのような危機が起きた時に、どの程度影響を受けるのか?
私は5年とか10年以上の長期投資をしているので、不況時にどのような影響を受けるのか?は気になります。Casaの場合上場して1年も経っていないので、開示情報も少なく判断ができませんでした。
顧客の属性が良いので、リーマンショック時もそれほど貸倒は増えていないという説明で少し安心しましたが、実際には起きてみないと分からないんでしょうね(笑)
(2)イントラストと比べて利益率が低い要因は?Casaもイントラスト並みの27%近い利益は狙えそうなのか?
今は回収率悪化の後遺症が続いているので利益率が低下している。来年初めにはすべて完了するので、来期は20%以上の(経常)利益率は目指せると思う。
イントラストの27%までは難しいと思う。まだ売上が小さいから出せる利益率なのではないかと感じる。
現状が15%なので、不良債権の処理が終わるだけで利益率は20%を超えてくると思います。今は家主ダイレクトの浸透のため、広告宣伝費などの先行投資も行っており、これも利益率が低下している要因だと思います。家主ダイレクトの売上が増えてくれば、この面でも利益率の改善が期待できます。
https://twitter.com/oo_ffee/status/977948647676567552?s=21
データが公開されているのが、‘08下期からだったので、そこから掲載してますが、やはりリーマンのようなことが起こると、月初・1か月・2か月滞納率ともに上がります。ただ、それでも平時の1.5倍程度で’09上期には戻してるので、業界全体としては、貸倒が最大1.5倍(Casaは過去実績率で算定しているので、平準化されもっと低まる可能性も有り)に上がる可能性は想定しておく必要があるかもです。
Casaの固有性としては、@連帯保証人を取らずに保証を受けていること(これが同社のビジネスの堀になると思うのですが)に加え、A高価格帯の家賃債務保証(家賃100万円オーダー)を行ってますが、この層は経営層など不況時の影響を強く受ける層なので、滞納の瞬間最大はもっと行くかもしれません…
一方でCasaは保守的な会計方針を取ってる(売上は按分計上、支払手数料は一括計上)ので、専業の同業他社と比べて不況時の安定性はあり、優位性はあるかと思います。
ツイッターでの専門的なやり取り、とても参考になりました。
日管協も初めて知りましたが、参考になるデータを提供してくれているんですね。リーマン前からのデータがあると推移がより理解しやすいですが、リーマン後でもとても参考になりました。
一時的に立替払いが急増するので各社厳しくなりますが、危機が来ると資金力のある上場企業や大手企業への集約が進むことになりそうです。
説明会時には、正社員や優良顧客の比率が高いので、比較的影響は少ないという説明でしたが、高価格帯の立替が増えると金額的な影響は大きくなりそうですね。
一方でそれだけ稼げるような人は復活も早そうですし、立替分もきちんと払ってくれそうです。
全然データに基づいてないですが^_^;
保証料を支払って保証会社を使うのに、連帯保証人まで求められるというのは意味が分かりませんよね!連帯保証人が居るなら保証会社を使う必要なんて無いはずなのに。
連帯保証人を取ることでリスクを減らして、その分管理会社へのキックバックを多くしたり、保証料をディスカウントしてラクに事業拡大してきた会社は、今後厳しくなりそうですね。
楽しい勉強会に参加させていただきありがとうございました。
業績予測に向けた各種分析については皆さんの方が詳しいので、市場環境や今後の成長について考えていることを書きますね。
■現状の市場環境について
ストック型ビジネスモデルということで基本的な安心感はあるのですが、想像以上に成熟市場や競争激化のフェーズに入っているなと感じました。
・大手不動産管理会社での家賃債務保証の付帯率は6〜7割はある
・不動産管理会社は債務保証時のキックバック(例えば保証料50000円だとすると、その30%をキックバックするなど・・)で保証会社を選ぶようなところも増えている
・短期的には数字に出ない「良くない客層」をどこが取るかといった話にもなってきている
このあたりの環境を考えると、基本的には10%未満の成長になりそうな印象です。
■家主ダイレクトについて
Casaが注力している「個人家主」に対するアプローチは面白いと思います。宮地社長が仰っていたように「本当は貸す人と借りる人だけでいい」のであり、その二者をつなぐ場があれば十分です。私が個人家主ならこの「家主ダイレクト」は必要十分なしくみとして利用しそうです。
ざっと見るとあまり競合はいないようなのですが、保証会社に限らず「楽待」といった投資用不動産サイトなどもあり、どういう競合関係になるのかが知りたいですね。
■今後の成長について
IT重要事項説明によって取引のWeb化は一気に進むと思います。その中でCasaは良いポジションを取れる可能性があるまでは理解できるのですが、家探し(仲介)機能だけで言えばHomesやスーモといった巨大ポータルがあり、本来であればCasaはこういったサイトと連携することが求められると思います。
このあたりについてもどう考えているのかを知りたかったですね。
株価も割安で良い銘柄だとは思いますが、成長という視点でいうと「家賃ダイレクト」「web化の波に乗る成長」が必要になると思うのでこのあたりを見極めたいですね。
すぽさんブログの議論っぽくなってきて嬉しいです。
私もそんなに詳しいわけではありませんが、株主総会や説明会で感じたことを書いてみます。
■現状の市場環境について
ご指摘の通りですが、大手管理会社向けの市場(Casaダイレクトで対応)は、私はもう少しフェーズが進んでいるのではないか?と感じました。
競争の激化が進み、安易な価格競争を行っている業者もありますが、それは連帯保証人を取っているから薄利でも成り立つわけで、民法改正で連帯保証人の要件が厳しくなると、立ち行かなくなる業者も出てくると思います。
今後、過当競争から徐々に淘汰のフェーズに入っていくのではないかと感じました。
「良くない客層」だけCasaに依頼してくるような管理会社もあったので、事故率などを検証して顧客の絞り込みなどもしており、それが売上の伸びの鈍化に表れています。
淘汰のフェーズに入っていくのであれば、より厳しい環境でビジネスモデルを磨き上げてきた会社が強みを発揮すると思いますし、上場企業の優位性も出てくると思います。
■家主ダイレクトについて
個人家主に注目したのは、私も面白いと感じました。
大手の管理会社向けは効率は良いですが、競合も激しく価格競争に陥りがちです。
一方で個人家主向けサービスは競争相手も比較的小さな会社になりますし、家賃債務保証会社を使っていない比率も高いので、当面の成長ドライバーになると思います。
現在は先行投資の段階ですが、顧客数は着実に増えているので、来期くらいからは収益にも貢献してくることを期待しています。
家主向けサービスだけではなくて、「入居者カフェ」で入居者にも目を向けているところが、将来の事業展開を見据えて関係構築に努めているんだな〜と感じました。
「楽待」などとの競合関係はよく分かりませんが、個人管理大家市場も今後新規参入があるのではないか?という部分については、宮地社長の考えを聞いてみたかったですね。
手間のかかる仕事なので、少人数で運営している会社は参入しなさそうですが、地域密着の会社などは先々競合になりそうです。その場合は、
全国規模でカバーしている
規模のメリットで、様々なサービスメニューを提供できる
与信情報の蓄積がある
という部分が強みになるのかなと感じます。
■今後の成長について
Homesやスーモといった家探し(仲介)の巨大ポータルが、今後仲介だけではなくて契約、その後の管理まで手掛けるなら、Casaも提携していく必要があると思います。
現状は管理会社に決定権があるので、こことの関係構築を進めているわけですが、状況が変わっていくのであれば対応が必要になると思います。
一方でグーグルの動きを考えると、Homesやスーモのビジネスモデルが安泰なのか?という話もありましたね。
私もすぽさん同様家賃債務保証業界に関してはかなり成熟期にはいっており、今後も今まで同様のペースでの成長を望むのが難しいと考えます。
その中でイントラスト、ジェイリースは医療費要保障にビジネスを広げたのは今後大きな可能性を秘めていると思います。(今後他社の新規参入の可能性も高いと考えています)
医療業界で働いているのですが、医療費の未払いというのはこの業界の大きな問題のひとつであり、この制度が解決の一助になるのであれば今後爆発的に広がる可能性はあるのではないでしょうか。
ただ懸念としては医療に関しては不動産とは異なり、債務保証に加入しなければ入院は拒否すると病院側が強く言うのが難しいという現実はあるように思えます。病院も利益をお金を支払ってもらえないと経営が破綻するため拒否する権利はあるように思えますが、現実としては難しいところです。しかしイントラストの決算説明資料などを拝見すると着実に病院との契約は増えてきているとのことでこれが全国的に広がれば急速に事業は拡大するのではと期待しております。
Casaの家賃債務保証と話がそれて申し訳ありません。
入院費の未払いは大きな問題だと思いますが、家賃保証と比べると市場規模は小さいのかなとも感じます。
Casaのミッションは連帯保証人を無くすことなので、今後参入の可能性はあると思います。
入院時以外にも、大学の入学時など様々な場面で連帯保証人を求められるケースはあり、そういった分野にも対応していく必要があるのかもしれません。
イントラスト、ジェイリースのように医療機関と提携して参入する方法もあると思いますが、Casaは入居者との関係も構築していこうと考えているので、Casaの家賃保証を利用しているお客さん向けに、入院費用保証も提供するという方法もあるのではないかと感じました。
毎月きちんと家賃を支払っている人には、連帯保証人が必要になった時には保証を提供するという考え方です。
こういったビジネスモデルの方が、Casaの中長期的なビジョンにも沿っていると思います。
どちらにしろ、まずは本業の家賃保証事業に力を入れて、管理会社や仲介会社、大家さん、入居者との関係構築・深化を進めてほしいと思っています。
そうした関係が出来上がれば、様々なビジネスに展開していけるのではないかと考えています。
成熟市場と言っても一定の需要は継続して見込めるわけですし、今後連帯保証人の要件が厳しくなることを考えると、家賃保証業界も淘汰・集約の流れになっていくと思います。
収益不動産販売時の不正が報道され、今後地銀など地域金融機関の融資姿勢が厳しくなっていく流れも、小規模業者にはボディブローのように響くのではないかと感じます。
成熟市場の中でも生き残っていける会社は、シェアを高めながら成長を続け、残存者利益を享受することができます。
Casaがピーターリンチの言うところの砂漠に咲いた一輪の薔薇になれるのか?を見極めていくことが重要だと思います。