2020年06月21日

コロナ禍の家賃保証会社への影響について

Casaの2020年度1Q決算(2020年2〜4月)が6月12日に発表されました。
決算の概要については、下記の記事にまとめていますのでご覧下さいね。
第一四半期は繁忙期なので売上は伸びるものの、仲介会社への支払手数料を一括計上するため利益面では低調になります。しかしながら今期はいきなり赤字スタートとなり、サプライズな展開となりました。とはいえ、株価の反応はちょっと下げ過ぎではないかと感じます。
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3月下旬前後の底値から徐々に戻ってきたのに、12日(金)の1Q決算発表後は窓を空けて下落し、その後もだらだらと下げています。
赤字になったとはいえ一時的な赤字であれば、ここまで悲観して下げるのは過剰反応だと思い、連日買い増ししているのですでに満腹を通り越し、消化不良を起こしています(笑)
今年の4月、5月は多くの会社が大なり小なり業績に影響を受けているはずで、今後発表される四半期業績は減益になったり赤字転落する会社が続出すると思います。その度に株価は売り込まれるのでしょうか?経済活動が大幅に止まってしまったわけで、直近の四半期業績が悪いのはやむを得ないと思います。
もちろん業績悪化が長く続く会社、しばらく続く会社もあるでしょうし、一時的な影響で終わる会社もあるので、企業ごとの影響度合いを見極める必要はありますが、もう少し中長期の視点で投資判断する投資家が増えるといいのにと感じます。

この記事では上場している家賃保証会社の業績を比較しながら、家賃保証業界へのコロナの影響について考えてみたいと思います。
今年の3月決算企業では、今期の見通しを未定とする会社が続出していますが、家賃保証業界は各社とも今期計画を出しています。年間保証料というストック的な売上があるので、他業界よりは見通しを立てやすいという要因はありそうですが、今後の成長に自信がある表れのような気もします。
他業界ではコロナの影響を織り込んで減益決算を出した会社は叩き売られて、未定として発表しなかった会社は株価的には無風状態という、意味不明というか短絡的な値動きになっていて、IR担当者からすると無理して業績予想など出したくない!という感じになっていますよね^_^;

まずは各社の今期計画も含めた業績推移を見てみます。
Enはイントラスト(7191)、JLはジェイリース(7187)、Anはあんしん保証(7183)
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今期計画を発表したのは5月中旬ですが、各社ともその時点でのコロナの影響は織り込んで計画しています。(Casaは決算が2ヵ月ずれているので、3月初旬に発表した計画ですが、6月12日発表の1Q決算でも通期計画は据置き)
データが遡れる2010年度以降、各社とも順調に売上を伸ばしてきており、今期は民法改正の追い風もあって、コロナの影響を受けつつも売上は伸びる計画になっています。伸び方は微妙に異なるようですが^_^;
Casaは今期売上100億円超えの計画になっています。家賃保証業界で売上100億円規模の会社はCasaを含めて4社しかないので、業界大手の一角を占めています。他の3社は2015年度頃まではあまり差がありませんでしたが、ジェイリースが全国展開を進めて売上規模を伸ばしてきています。しかしながら下記のグラフの通り、利益面では最下位で赤字になる年もあるなど低調に推移しています。元々九州地盤の会社で、売上を伸ばすために市場の大きな関東圏などに後発で参入しているので、けっこう無理をしているのかな〜と思っています。

売上は右肩上がりの一方で、経常利益の推移はかなりばらつきがあります。
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2014年くらいまでは、Casa以外は低調に推移していましたが、イントラストはビジネスモデルを転換して利益を伸ばしてきています。
Casaも家賃が支払えなかった方への対応方法を見直したことで一時的に利益が低下しましたが、徐々に回復してきています。
今期は若干伸びは鈍るものの、Casaとイントラストは増益、あんしん保証は微減益、ジェイリースは何度も過年度決算修正を行って利益を見直しているので、決算や計画値についての信頼性が低くて、増益を見込んでいるものの実態がどうなのかはよく分かりません。
売上は凄く伸びているのに、毎年赤字すれすれの利益しか出せないので、かなり無理をして契約を取っているのかなと感じています。

経常利益率をみると、今期は各社とも若干低下する計画になっています。
民法改正の追い風などで売上は伸びるものの、コロナの影響で家賃の立替も増加が見込まれるので、貸倒引当金を積み増している影響が出ていると思います。
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ここまででは、各社とも通期ではコロナの影響はあまり無いと見ているようです。ただ中間期ではコロナの影響を織り込んで、利益水準が低くなっています。夏頃まではコロナの影響で家賃の立替なども増加するが、公的支援制度の支給も開始されるので、通期では挽回可能という認識の様です。
Casa以外の3社は、7月下旬以降に1Q決算が発表されますので、Casaと2ヵ月の時間差でどのような数値が出てくるのか?通期の計画を見直すのか?コロナの影響についてどのようにコメントするのか?注目ですね。

利益に大きな影響を与えるのは立替家賃の発生額・発生率ですが、四半期推移は下記の通りとなっています。
基本的に保有契約件数が増えれば、比例して立替家賃発生額(求償債権)も増加していきます。
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Casaは4月末、その他3社は3月末の数値です。
3月末まではジェイリース以外は立替家賃に異常は見られないので、4月に緊急事態宣言が出て4月中旬以降家賃の立替が増加するなど事業環境が一変したのだろうと思います。
Casaは3月16日に宮地社長のメッセージをリリースしていて、事業への影響は予想されるが、全社一丸となって難局を乗り越えていく、契約者の方々もサポートしていく、と力強く語っています。
4月8日にも、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響についてリリースを出していて、現時点では影響は軽微という認識でした。影響は軽微だと思っていたのに、ふたを開けてみたら赤字だったというのが、現状の株価下落の主因だと思います。影響が軽微というのは四半期業績への影響というより、今期業績に対する影響は軽微という認識だったのかもしれませんね。

イントラストは4月9日と6月12日にリリースを出していて、先週のリリースでは、
6 月 12 日現在、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は予想の範囲内で進捗しております。足元の家賃の滞納発生率や回収率にも想定との大きな乖離は見られません」ということなので、Casaと同じようなコメント内容です。来月末にどのような1Q決算が出るのか気になりますね。1Qも順調に成長を続けるのか?1Qは落ち込むが2Qで挽回して成長路線継続なのか注目ですが、あまり1Q業績に期待しすぎない方が良さそうです^_^;
イントラストは売上の半分がソリューション事業というビジネスモデルなので、他社より直接的なコロナの影響は小さいと思います。
ジェイリースとあんしん保証はコロナの影響についてのリリースは出していないようです。事業に大きな影響がないから出していないのかもしれませんが、投資家としては経営トップからなんらかのメッセージを出してほしいなと思います。
<追記>ジェイリースは6月1日に出した、当社株式の時価総額に係る猶予期間の解除に関するお知らせの中で、コロナの影響についても言及していました。こういった分かりにくい情報開示姿勢は改善してほしいと思います。
5月の新規保証申込数は前年同月と同水準まで回復しており、債権管理面においても代位弁済立替金の発生率や回収率に特段の悪化等は生じておらず、順調な業績推移となっております、ということでイントラストと同じような認識の様です。

各社の1Q決算が揃わないと状況は把握できませんが、1Qはコロナの影響を受けるものの、2Qや通期では影響は軽微という現状認識なのかなと思います。

上記の求償債権を保証残高で割った求償債権比率(立替発生率)の推移は下記の通りです。
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Casaは4月末で9%近くに上昇、他社は3月末の数値なので横ばいで推移しています。
ジェイリースは求償債権額が開示されていなくて、代わりに決算説明資料に家賃立替発生率が掲載されています。利益率が一番低いジェイリースが立替発生率がこんなに低いのは永遠の謎です。たぶん定義が他社とは異なっているんだろうなと思います。
独自指標とはいえ1Q以降どのように推移するのかは注目ですね。

基本的には、各社とも1Q決算では求償債権が増加して利益は低調になるものの、2Q以降で挽回して、通期では民法改正の追い風がプラスに働くという感じかなと思っています。

最後にコロナが家賃保証業界に与える中長期的な影響について考えてみたいと思います。
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申込件数のトレンドは増加傾向にあり、Casaの保証残高も順調に増加しています。
民法改正による増加傾向に加えて、コロナの影響で一時的に家賃が払えない人が増加したことで、家賃保証会社の存在意義は賃借人、賃貸人、管理会社ともに高まったのではないかと感じます。
家賃保証会社が一時的に立替えたことで、コロナ禍でも大家さんは家賃を受け取れたわけですし、賃借人も住み続けることができます。管理会社も督促などの余計な仕事が発生しないので、有難いことだと思います。一時的に立替えている家賃をきちんと回収できないと、今後家賃保証会社が大変なことになるわけですが^_^;

昨年のイントラストの株主総会で、管理会社が家賃保証会社を選ぶ際に一番重要視しているのは、家賃保証会社の信用力だと言っていました。保証会社なので信用力が重要なのは当然ですが、もし家賃保証会社が破綻してしまうと保証契約が無くなってしまうので、新たな保証会社を探すなど現場は大混乱になります。
平常時であれば手数料のバックが多い会社や審査が早い会社というのも選定のポイントになるかもしれませんが、非常事態を経験するとやはり信用力が一番大事だと痛感するのではないでしょうか?
コロナ禍を経て家賃保証会社もより信用力が重要視されるようになり、財務基盤の強固な上位企業に徐々に集約されていくのではないかと感じます。業界大手の全保連が東証1部上場目指すというニュースも出ていますが、家賃保証会社大手で上場しているのはCasaだけという異常な状況も徐々に変わっていくのかもしれませんね。

ジェイリースは5月25日に、中国最大規模の決済サービスプラットフォーマーであるLakala Paymentとの業務提携を発表しています。ジェイリースは株主資本比率が8.3%と非常に脆弱なので、コロナを契機に今後は資本増強などで徐々に中国系の会社になっていくのかもしれません。
それにしても中国の決済サービス大手と言えば、アリペイとWeChatPayしか思い付かないんですが、Lakala Paymentとはどんな位置付けの会社なんでしょうか?

今までは連帯保証人制度などの個人保証から、保証会社への切り替えで業界全体として伸びてきましたが、今後は各社の経営戦略や理念の違い、積み上げてきた事業基盤の差などから優勝劣敗が進んで行く気がします。
上場企業は信用力では有利ですが、コンプライアンスをより重視しないといけないので、債権回収などコンプライアンスが制約になる部分もあると思います。
大手の非上場会社も含めて、今後どのような戦略を打ち出し、それが業績にどのように影響してくるのか、今後も見守っていきたいと思います。
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posted by アイル at 22:31| Comment(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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