2020年08月04日

Casaと競合他社の利益率比較

昨日はCasaの会社説明会とコモンズ投信の伊井社長の講演会を開催しました。
オンライン参加も含めて多くの皆さんに参加いただきありがとうございました。
Casaの質疑応答の中で、同業他社と比べた利益率の差について質問が出ましたが、当事者としては説明をしにくい部分もあると思うので、私なりに利益率の差異要因についてまとめてみます。

まず上場家賃保証会社の売上推移は下記の通りです。(2020年度は計画値)
各社とも売上が伸びていますが、イントラストは2015年以降売上が伸び悩んでいます。これは家賃保証事業からソリューション事業への転換を図っているからです。
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各社の経常利益推移は下記の通りです。
上場時期が会社によって違うため、グラフの開始時期が異なっています。
営業利益ではなく経常利益にしているのは、家賃保証事業は支払金利まで含めて比較した方がより正確だと思うからです。
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今では高利益率を誇るイントラストも、2014年度まではほとんど利益が出ていなかったことが分かります。しかしながら2015年度以降、売上はあまり伸びていないにもかかわらず利益は急激に伸びています。
ジェイリースは売上は勢いよく伸びているものの、利益は上場前も上場以降もほとんど出ていません。
あんしん保証は売上が少なかった頃から安定的に利益が出ています。これは貸倒リスクを主要株主だった信販会社に引き受けてもらっていた影響なのかなと思います。
一方Casaは家賃保証事業のパイオニアであり、安定的に高い利益を継続しています。
2013年度をピークに利益が減ったものの今は回復傾向にあるのは、過去の説明資料などを見ればご理解いただけると思います。

質問が出たのは各社の利益率の差ですので、経常利益率の推移を見てみます。

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今では一番高利益率を誇るイントラストですが、2014年度までは4社の中でも最下位だったのは意外ですね。
イントラストとあんしん保証の利益率推移を見ると、自社で貸倒リスクを取ると回収ノウハウ次第ですが利益率が低くなり、貸倒リスクを他者に転嫁すると高利益になるという感じがします。
イントラストは自社でリスクを取る保証事業から、審査や督促、回収などの業務代行に特化していくことで、ほとんど利益が出ない状況から高収益企業に変化を遂げました。これは親会社であるプレステージインターナショナルの影響も大きいのかなと思います。
あんしん保証は当初は信販会社に貸倒リスクを転嫁していましたが、自社で保証する商品を投入して自社でもリスクを取るようになり、利益率が若干低下傾向になっています。
ジェイリースは商品構成も違いますしあまり比較対象になりませんが、地盤の九州で事業展開していた頃は安定的に利益が出ていましたが、拡大路線に転じて全国展開を進めて以降は、無理な販促をしているためなのかほとんど利益が出なくなってしまいました。
Casaは2014年度頃までは高利益率を続けていましたが、顧客に寄り添った回収方法に変更してからは15%程度の利益率となっています。
Casaの説明会に複数回参加したり、株主総会後の経営報告会に参加している人はよく理解していると思いますが、2014年度頃までのCasaは他の家賃保証会社のように滞納家賃の回収を行っていました。しかし2015年以降回収方法を大きく変更し、顧客本位の回収方法に見直しています。家賃を滞納するということは入居者に何か問題が発生しているので、督促するよりもまずはどんなお困りごとが発生しているのかをお聞きし、セカンドハーベストと提携して食料の支援を行ったり、行政の支援サービスを紹介するなどして問題解決のお手伝いをして生活を立て直していただき、家賃を支払えるような状況になるようお手伝いをしています。
家賃滞納者の9割は口座への入金忘れなどですぐに支払ってもらえますが、問題が発生している残り1割程度の人に対して、上記のような手厚いサポートをしています。そのため以前と比べると人手が掛かったり、家賃回収までの期間が長くなったりするので、上記のような利益率になっています。
手厚いサポートをしても15%の利益率を達成しており十分に高い利益率だと思いますが、Casa設立時の経緯から筆頭株主がファンドで2回変わっており、35億円ほどののれんが残っています。これを毎年2.6億円ほど償却をしているので、この影響を除けば現状でも19%程度の経常利益率になり、他社と比較しても十分に高利益率だと思います。

イントラストのソリューション事業ですが、売上の内訳推移は下記の通りです。
イントラストの決算説明資料から抜粋していますが、当初は保証事業だけの状態からソリューション事業が半分くらいになっています。
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保証サービスは保証料を頂いて家賃滞納リスクを引受けますが、ソリューションサービスは大手管理会社の要望に沿って、入居希望者の審査や滞納が発生した場合の督促、回収などの業務を提供するサービスで、自社では貸倒リスクを取りません。そのため売上単価は減りますが、コスト要因も大幅に減るので、利益率は高くなります。
保証サービスのアウトソーシングを行うというのが、イントラストのビジネスモデルです。Casaとどちらが優れているか?という問題ではなく、どちらもそれぞれの戦略に基づいてビジネスモデルを磨き続けており、単純に利益率だけを比較してもあまり意味はないと思います。
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posted by アイル at 01:42| Comment(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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