2020年11月20日

家賃保証会社2020年Q2決算分析1

家賃保証会社各社の第2四半期決算が出揃ったので、何回かに分けて分析してみようと思います。
まずは業績の推移についてです。
ジェイリース、イントラスト、あんしん保証の2Qは7〜9月ですが、Casaは他社と1ヵ月決算月がずれているので、以降のグラフではCasaの2Qに当たる5〜7月実績を1Qにプロットしています。決算期で合わせるのではなくて、実際の月に近いように合わせて表示しています。
そのため繁忙期である2〜3月は各社ともグラフ上では4Qになります。
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上記の四半期ごとの売上推移を見ると、各社とも右肩上がりで売上を伸ばしています。
4Qが引越しも多くて繁忙期になりますが、引越し難民が問題になった2017年4Qは、引越しが4月以降にずれて1Qの落ち込みが小さくなっています。
Casaとイントラストは、契約時に1年分をまとめて受け取る家賃保証料を12か月に按分して計上しているので、四半期ごとの売上のブレは小さくなります。
4Qで契約が増加してストックが積みあがるので、4Qで売上が階段状に増加して、以降の1Q〜3Qはなだらかに増加する傾向になります。
一方でジェイリースとあんしん保証は4Qで売上が大きく増加し、1Q以降は減少する傾向です。ジェイリースも家賃保証料を按分計上する割合を高めていますが、それでも契約月に売上計上する割合が高いので、四半期ごとの変動が大きくなります。
4社ともコロナの業績への影響は小さいと説明してきましたが、住宅確保給付金などの政策支援もあり、現状では売上は順調に推移しています。
住むところが無くなると再就職も難しくなるなど、生活再建への影響が大きくなるので、一時的に家賃を立て替えてもらえる家賃保証サービスの重要性は、コロナ下でより高まったと感じると同時に、保証にきちんと応えられるような安全性や信用力もより重要になってくるのでしょうね。

四半期ごとの経常利益推移は下記の通りです。
普通は営業利益で比較することが多いですが、家賃保証会社は大家さんに家賃を立替払いすることから、運転資金を銀行借り入れしていることも多く、支払利息も含めて比較した方が実態に合っていると考えて、経常利益で比較しています。

利益面でもイントラストの安定感は抜群ですね。
先日の個人投資家向け会社説明会でも桑原社長が強調していましたが、売上を按分計上していることで6か月先までの業績はほぼ見えている、ストック型に積みあがっていくビジネスモデルなので、業績が急に落ち込むこともない、逆に急激に業績が伸びることもなくて安定的に成長を続けていく会社という説明通りの利益推移です。
Casaも基本的にはイントラストに近いですが、利益面ではさらに保守的なので、四半期ごとの利益のブレが大きくなっています。
1Q(下記グラフでは4Q)に契約件数が伸びて、それに比例して管理会社への紹介手数料などの原価も増加します。上記のように売上は12か月に按分計上しますが、紹介手数料などのコストは発生月に計上しているので、3月は売上は1/12しか計上しないのに、紹介手数料などのコストは全額計上することになり、利益が減少します。2Q以降はその分コストが減るのに売上は按分計上されるので、利益が増加することになります。
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四半期ごとの経常利益推移を見ると、Casaとイントラストは右肩上がりの傾向、あんしん保証とジェイリースは横ばいでしたが、コロナによって利益面で変化が表れています。
コロナが影響しだしたのは2019年4Qからです。
Casaは一時的に家賃の立替が増加したことと、上記の1Q特有の要因から小幅赤字に転落しましたが、立替家賃の回収が徐々に進んでいることから2Qでは利益が回復しています。3Qではさらに回収が進んでいると思うので、利益がさらに伸びることを期待しています。
あんしん保証とジェイリースはコロナ下で利益が伸びています
この要因としてはコロナ下で立替家賃の回収が進んだためだと思われます。
下記グラフの通り、増加傾向だった求償債権が横ばいになったり、低下したりしています。立替家賃の新規発生が減ったり、立替えた家賃の回収が進めば求償債権の減少要因となり、その分利益が増えることになります。
求償債権が減った要因は、コロナ対策の住宅確保給付金の支給が本格化した影響も大きいと思います。
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ジェイリースが全国展開を始めたのは後発なので、売上を伸ばすために新規進出エリアでは管理会社に採用してもらうことを優先して、審査が若干甘かったのかなと思います。審査基準を緩めると家賃の滞納も増加して、求償債権が増加傾向になりますし、売上拡大が最優先で立替えた家賃の回収も後回しになっていたと思うので、求償債権はグングン伸びていきました。そのため売上は伸びるもののほとんど利益が出ないような状況が続いてきました。
その結果50億円を超えるまで求償債権が積みあがりましたが、2期前に監査法人に指摘されたこともあって、前期から債権回収にも力を入れるようになり、さらに住宅確保給付金の恩恵も受けて立替家賃の回収が進み、大幅に利益を改善することができました。
ただ立替金の残高内訳を見ると、1年以内の比較的回収しやすい短期債権は減っていますが、回収が困難な1年以上経過した長期債券は逆に増えています。短期債権の回収による利益改善は一時的な要因なので、この効果が薄れる来期以降、本当の実力を試される局面が来るのだろうと思います。(ジェイリースの2021年2Q決算補足説明資料より)
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経常利益率の推移は下記の通りです。
Casaの4Q(Casaの決算では1Q)の落ち込みは一時的な要因で3Q決算までには影響は解消されると考えています。
イントラストは高利益率を維持していて、ジェイリースとあんしん保証は利益率が大幅に改善しています。
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今期の家賃保証会社の利益の傾向は、おおまかに下記のような印象です。
1.以前から高収益で求償債権の管理もしっかりしてきた会社はコロナ下でも影響はほとんどない
2.求償債権の管理が後回しになっていた会社は、政策的な恩恵も受けて立替家賃の回収が進み、利益率が高まっている

前者のタイプは今後も安定成長を続けていくだろうと期待されますが、後者は回収しやすいものを回収して利益が実力以上に上乗せされている部分もあるので、今後利益がどう変化していくかは注視していく必要があると思います。

次回は今後の売上の見通しなどについてまとめたいと思います。
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posted by アイル at 19:29| Comment(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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