2017年05月30日

VTホールディングス決算説明会

VTホールディングスの決算説明会に参加しました
決算説明会の内容を2016年度決算分析と合わせてまとめてみます。
決算説明会資料は下記のページからダウンロードできます。
 VTホールディングス 会社説明会資料

2001年度以降の業績推移は下記の通りです。2017年は会社計画です。
VTホールディングス
VTホールディングスは新車ディーラーを展開している会社ですが、国内外の同業他社をM&Aすることで成長を続けています。特に赤字の新車ディーラーを安くM&Aして、独自のノウハウで立て直すことで利益を伸ばしてきました
ただ国内ディーラーはなかなか売り物が出てこない事から、2012年からは海外の自動車ディーラーも積極的にM&Aする様に方針変更し、売上の伸びは加速し過去最高を更新しています。
一方で海外ディーラーは事業環境の違いから国内ディーラーより利益率が低かったり、言葉の問題やノウハウ不足で立て直しに時間がかかったりという問題があり、利益面では2012年以降伸び悩んでいます。
2013年度は消費税増税前の駆け込み特需で伸びています。

VTホールディングスは2012年にイギリスの三菱自動車ディーラーCCRをM&Aして、海外展開を本格化させました。最初は赤字会社を安く買収して立て直すという、国内と同じビジネスモデルで参入しましたが、赤字額は減ったものの黒字化には至らず、2〜3億円の赤字が続いてきました。前期は不採算店を閉鎖した特損もあり、3.5億円くらいの赤字になったようです。
CCR以降は基本的に黒字の会社をM&Aする方針に変えたため、CCR以外の海外ディーラーの利益合計が3億円ほどで、海外事業合計でも若干の赤字になりました。
ずっと足を引っ張ってきたCCRは不採算店を閉鎖して、近隣の店舗で閉鎖店舗の顧客をカバーする体制に変更し、今期こそ黒字化を見込んでいるそうです。昨年期中に買収した会社が2社あるので、CCRが黒字化すれば今期の海外事業は4億円以上の利益貢献が見込めそうです。
VTホールディングス
国内事業が中心だった2011年までは営業利益率も向上していましたが、2012年以降はトレンドとしては利益率が低下しています。海外事業が改善することで利益率の低下傾向も今期で底を打ち、来期以降は徐々に回復することを期待しています。

ちょっと分かりにくいですが、利益率のグラフに海外売上比率の推移を入れてみました。
VTホールディングス
2016年実績では海外ディーラーの売上比率が30%に達しています。今期は昨年買収した会社がフル寄与するので、新規のM&Aがなくても35%くらいに達しそうです。
海外売上が1/3を超えて、重要度がさらに高まります。
現状では海外売上比率の向上とともに、利益率が低下していることがよく分かります。

決算説明会資料に、国内外別の部門別利益状況が載っているのでグラフ化してみました。
VTホールディングス
国内と海外の売上内訳を比較してみると、サービス部門の売上構成比が低いことが目立ちます
海外は日本の様な車検制度が無いので、サービス部門の売上は修理と定期点検が中心になります。定期点検も罰則がないことから入庫率が低く、修理中心の売上になっているのが現状の様です。
今までは本社から営業の人財を海外子会社に送り込み、新車や中古車の売り方の改善を進めてきました。新車販売のマージンは支払い方法の違いはあるものの、メーカーから提示された販売目標を達成すれば日本でも海外でもあまり違いはないそうです。
海外の新車部門の利益率が低いのは、カーナビなどの用品のセット販売ができていないことが主因であり、今後各国に合ったセット販売商品の検討を進めていきます。
中古車部門の利益率も低いですが、下取車を転売して利益を出すのが難しいそうです。廃車に近い状態まで乗りつぶすなど車の使用方法の違いもあるのかもしれません。
CCRを子会社化した時の目論見では、イギリスで調達した中古車をトラストのビジネスに載せてアフリカへ輸出する拠点にするという位置付けもありました。
しかし実際に事業を始めてみると、下取車は古い車が多くて海外輸出には適しませんでした。車は移動の道具であり、日本人の様に車を大事にしないので、外観は傷や凹みが多いなど商品価値が低くなってしまうのかもしれません。
CCRは初めての本格的な海外ディーラー経営だったので、様々な想定外の出来事が発生し、黒字化に苦労したようです。そういった実際に経営してみないと分からない試行錯誤の経験を積んだことで、海外自動車ディーラーの経営ノウハウが徐々に蓄積されてきたので、最初に赤字の会社で苦労したことは、きっと今後に活かされるのだろうと思います。

一方利益の源泉であるサービス部門は日本との差が小さくなってきています
海外でもサービス部門を強化するため、サービスの人財も海外に送り込む様に変更し、その結果定期点検の入庫率も大きく改善しています。それまではほとんど予約も取っていなかったので、どの程度点検や修理の入庫があるか分からず、サービス工場稼動率の変動が大きい状況でしたが、今では定期点検の予約を事前に取る様にしてサービス工場の運営効率化を図っています。
こういった取り組みがサービス部門の利益率向上に繋がっていると思います。
サービス部門の売上構成比は国内25%に対して海外は15%で、ただまだまだ日本と比べるとサービス部門の売上比率が小さくて、新車販売中心の売上構成になっています。
今後はサービス部門の売上増加にも期待したいですね。

海外ではM&A案件が豊富にあるので、ここ数年は海外でのM&A中心になっていますが、基本的に黒字会社であること、経営者が引き続き経営に関与すること、買収価格が割高でないこと、という3つの条件を満たした案件に絞って検討しています。
海外のディーラーも地元の名士が経営者になっていることが多く、経営者が変わってしまうと地元との繋がりが薄れて顧客離れが起こるなど、業績改善により時間がかかってしまうので、引き続き経営に関与することも重視しています。
そして経営幹部を日本に招いて、VTホールディングスの店舗をじっくり見てもらう取り組みも始めています。すでに2社で実施したそうですが、その他の子会社でも順次進めていきます。
同じ自動車屋なので現場を見てもらうのが一番理解が早いそうです。現場を見ながら説明すれば、なぜ利益率が高いのか?どこを見直せば良いのか?など経営改善の必要性もよく理解できますし、自社内への展開もイメージしやすいと思います。
こうした取り組みが進めば、日本で作り上げた効率的なディーラー経営モデル(VT方式?)が海外の各子会社でも実践され、それぞれのディーラーの経営成績が向上するとともに、各子会社でも独自の改善やローカライズが進んでいくと思います。
それらの情報・ノウハウをVTグループ内で共有する場を作れば、問題解決・経営改善ノウハウが蓄積されていって、グループ企業全体の問題解決にも繋がりますし、さらには新たにM&Aした会社でも迅速に経営改善が進むことになります。
各国の子会社でVT方式が進化し、人財の育成も進んでいくと、将来的には海外の子会社から新規のM&A先に人財を送り込むことも可能になります。そうなれば少なくとも言葉の問題や文化の違いなどはかなり解消されると思います。
子会社が増えるに連れて経営改善ノウハウの蓄積スピードも上がっていき、海外でも赤字会社の立て直しが可能になるかもしれません

ぜひVTホールディングスにはこのような姿を実現してほしいですね!

このような考えが浮かんだのは、タイのグループリースのデジタルファイナンスモデルの海外展開を見てきたからです。カンボジアで開発した新たなビジネスモデルが周辺国に展開され、各国で現地仕様に合わせて進化しそれがフィードバックされることで、さらに進化が加速する感じでした。それは新たな進出国に適用する時にも活かされて、進出国が増えるに連れて事業展開スピードがアップしていきます。
複数の国で事業展開しているからこそ発揮できるシナジー効果なので、こういった進化が内包されている様なビジネスモデルを作り上げていってほしいですね。

ブログを書きながら自分自身が煽られてしまいました(笑)
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posted by アイル at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 銘柄分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする